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ゆらのと

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それにしても、と思う。
黙りこんだ桂の横顔には表情がなく、表情にごまかされないぶん、その顔立ちの端正さが際だつ。
綺麗だ。
幼い頃から見慣れた顔ではあるものの、それでも、たまに、こんなふうに眼が惹きつけられてしまうことがある。
それは自分だけではない。
好みの差はあるはずだが、桂の外見の良さはほとんどの者が認めることだ。
この国の者であれば。
しかし。
この国の者でなくても、この星の者ですらなくても、同じような美的感覚を持つ者がいるだろう。
この国の者であっても天人の欲情の対象となりうる。
おそらくと前提がつくが、自分もその例のひとつだ。
その結果として自分は生まれ、さらに半分はその血を受け継ぎながら、桂の外見が綺麗だと感じ、そして、桂に欲情する。
脳裏に、思い出したくもない宇宙海賊玄夜の人身売買用の冊子の桂のページの記憶が、よみがえった。
「なァ」
呼びかける。
「おめーのほうこそ、猫以外で、なんかなかったか」
「なんか、とは、なんだ」
「まえに宇宙海賊の話をしただろ。人の密売してるヤツら。おめー、アイツらにねらわれてるみてーだしさァ」
「その件なら、なにもない」
桂は素っ気なく答えた。
うっすらと機嫌が悪くなったのを、桂から感じる。
それでも。
「気ィつけろよ」
さらに言った。
注意をうながさずにはいられなかった。
桂の切れ長の眼が鋭くなる。
「そんなこと、おまえに言われなくてもわかっている」
その声も尖っている。
「自分の身は自分で護れる」
余計なお世話だ。
そう言外に突き放された気がした。
さすがに、イラッときた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio