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ゆらのと

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だが、今はそんな棘に反応している場合ではないと思い直す。
右腕をあげ、桂の顔のほうにやった。
「なァ」
その強張っている頬に、そっと触れる。
「おめー、俺以外の男にやられるのはイヤなんだろ」
できるだけ穏やかに言った。
桂は眼を見張った。
「あたりまえだろうが」
しかし、ふと、その見すえてくる力は弱まり、眼が伏せられた。
その口は硬く閉じられている。
なにを考えているのだろうか。
それを推測して、ふいに不安になった。
「なァ、もしかして、オメー、実は、俺とやるのもイヤなのか」
不安を質問に換えて口にする。
桂は顔をあげて、こちらを凝視した。
「なんの話だ、それは」
その顔に浮かんでいるのは困惑の表情。
「いや、ちょっと不安になった」
「不安? なにをどうすればそうなるんだ。嫌かどうかは見ればわかるだろうが」
「……ずいぶん昔の話になるが」
あまり話したくないことであるが、流れで、話すことにする。
「俺ァ、別れ際に、相手から、今までのは全部演技だったと言われたことがある」
「えっ……」
桂は絶句した。
凍りついている。
だが、しばらくして、眼をそらした。
「……それは、なんというか……、別れ際とはいえ、かなり厳しいことを言われたものだな」
「オメーは言われたこと、ねェのか」
もちろん、この場合の相手は女だ。
「ない。が、単に言われなかっただけで、実際はどうだったのかは、正直、自信はない」
おそらく同情からだろう、桂はさっきまでとは打って変わっていろいろと喋る。
「疑いだしたらきりがないように思う」
「だろ?」
そう問いかけると、桂の眼が向けられた。
しかし、また、その眼は伏せられる。
そして。
「ああ、そういうことか」
桂はひとりごとのように言った。
それから、少しして、ふたたびこちらを見る。
「銀時、俺については、おまえの見たままだ」
「だが」
「おまえ以外の、というのは、俺は同じ男とそうしたいとは本来的には思わないからだ」
「それってさァ」
「無理をしているわけではない。それは、最初の頃はそうだったが、それについても、おまえの見たままだ」
「……」
「銀時、俺は」
ふいに、桂は言いよどんだ。
だが、すぐに、続ける。
「おまえに大切にされているのを、よく知っている。だから、嫌じゃない」
その眼が伏せられた。
照れくさそうに。
その顔をじっと見る。
嘘はついてなさそうだ。
心が晴れていくのを感じる。
「そりゃ、すげェ大切に想ってるからなァ」
軽く笑って、言った。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio