二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゆらのと

INDEX|157ページ/373ページ|

次のページ前のページ
 

伏せられていた桂のまぶたがあがる。
黒い瞳がじっと見つめてくる。
「銀時」
その唇が動いて、名を呼ぶ。
凜とした声だ。
耳に心地良く響く。
この声も好きだ。
昔から。
「おまえとのことが原因ではなくて、無茶苦茶なことをされればどうなるか想像がつく。精神的に、恥辱だろうとも思う。拷問の一種だと思えば、耐えられなくはないのだろうが……」
「させねェよ、そんなこと」
桂の言葉をさえりぎ、強く言った。
距離を詰める。
頬にその体温を感じる。
その唇を奪う。
応えるように、桂が動く。
くちづけのあと、その身体を抱き寄せ、腕の中におさめた。
桂はまったくあらがわず、おとなしくしている。
ふと、まえにも感じたことを、また、胸に感じた。
弱気だ。
桂は自分の強さに自信があり、護られることを嫌がる。
掌中の珠にしたくても、手のひらにおさまっていてはくれない。
しかし、今は、腕の中でおとなしくしている。
そのこと自体は、今となってはめずらしいことではなくなったが、いつもとはなにかが違うように感じる。
桂にしてはめずらしい、妙な弱々しさを感じる。
さっき、桂は、無茶苦茶なことをされればどうなるか想像がつく、と言った。
それは、あの宇宙海賊につかまって売り飛ばされたらどうなるかということだろう。
売り飛ばされた先でされるだろうことを、桂は嫌がっている。
いや、嫌がっているというよりも、恐がっているように感じる。
それが、触れている腕や胸に伝わってくる。
あまりにも、めずらしことだ。
だからこそ、いっそう、護りたいと思う。
頭に、例の冊子の桂のページが、浮かんだ。
備考欄に、出来る限り傷のない状態であることを求め、強姦や調教を禁止する文章があった。
あれは、逆に、買い手がそうすることを希望しているからではないのか。
まっさらに近い状態の桂を、犯し、汚し、壊すことを、望んでいるからではないのか。
反吐が出そうだ。
備考欄にあった文面から透けて見える腐りきった欲望に、胸がむかつく。
そんなこと、させない。
俺が、絶対に、させねェ。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio