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ゆらのと

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「銀時」
桂の身体に力が入り、上半身が退かれる。
だから、腕の力を脱く。
その腕をほどくようにして、桂が少し離れた。
切れ長の眼が向けられる。
そして。
「したい」
視線を揺るがすことなく、きっぱりと告げた。
さらに。
「しよう」
そう桂は続けた。
強く激しい衝動が湧きあがってくる。
腕をあげ、桂のほうへと伸ばす。
桂の頬に触れ、同時に、身を寄せる。
長襦袢の襟をつかんだ。
脱がせる。
桂はその袖から腕を抜いた。
裸になった桂の肌に触れ、押し倒す。
この身体を、商品のように見なしている者たちがいる。
この身体を、汚して壊すことを望んでいる者がいる。
ふざけんな。
カッと頭が熱くなるぐらいの、怒りがこみあげてくる。
ずっと、大切に想い、慈しんできた身体だ。
身体だけじゃない。
その心も、これまで一緒にすごした思い出のひとつひとつも、大切で、いとおしい。
「愛してる」
心の底から、そう思う。
桂の表情が揺れた。
腕が伸ばされてくる。
そして、まるで返事のように、抱きついてきた。

雨の降る中、銀時は番傘をさして歩いていた。
川沿いの道には桜の樹が植えられている。
枝には小さな蕾がついている。
その蕾も雨に濡れている。
まだ硬そうで、とうぶん開きそうもない。
そう思いながら歩いていて、ふと、前方から知った顔が歩いてくるのに気づいた。
近くまで進んだので、足を止める。
「よォ」
しかし、相手は歩き続けた。
銀時の横を通り過ぎる、その直前にようやく立ち止まった。
それから、顔を銀時のほうに向けた。
お咲だ。
「玄夜の船が二日ほどまえから密航してきてるらしいわ」
ひそやかな声で告げた。
しかし、その顔には笑みが浮かんでいる。
「気をつけて」
世間話でもしているように装いながら、お咲は警告した。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio