ゆらのと
実のところ、武器を取りあげられることを予想して、いつもは持ち歩いている愛刀は家に置いてきた。
とはいえ、さっき天人に渡した刀も、そのためだけに新たに購入したものではなく、ずっとまえから持っていて何度も使ったことのある刀だ。
思い出があり、それなりに思い入れのある刀だ。
それが壊されるのを見たとき、胸に斬りつけられたような痛みが走った。
しかし。
心は折れていない。
桂は毅然とした態度で、問う。
「次はどうすればいいんだ」
その途端、桂の刀を得意げに見せつけていた天人はつまらなさそうな表情になった。
新八を抑えている浪士風の男が答える。
「これからコイツをつれて、そっちに行く。アンタが俺たちにおとなしくつかまったら、コイツを解放してやる」
「だが、もし俺がおとなしく従ったあと、新八君が解放されなければ、あるいは、新八君にさらに危害を加えようとしたら、どうなるかわかっているな?」
無傷ではすまないことになる。
それでは、困るはずだ。
「ああ、わかっているさ。こっちはアンタさえつかまえられたら、それでいい。こんなメガネはいらねェし、殺す必要もねェだろうよ」
男は新八を見下した発言をした。
その隣で新八がむっとした表情をしている。
男は欺いてうまく捕らえることができたから新八をたいしたことのない相手だと思っているのだろうが、新八の剣の腕前は剣術道場の道場主であるだけになかなか侮れないものがある。
けれど、今は、逆に、そのことを敵である男に知られないほうがいい。
新八を解放させるために。
だから、桂は黙っていた。
男が新八をつれて近づいてくる。
そのうしろには、仲間と思われる浪士風の男たちや宇宙海賊らしき天人たちがいる。
大勢で桂を捕まえようと迫ってくる。
あっというまに距離はなくなった。
天人のひとりに、両腕をつかまれる。
手かせをはめられた。
その直後。
「テメーにはもう用はねェ!」
新八を抑えていた男の声が聞こえてきた。



