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ゆらのと

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無遠慮に身体をまさぐってた手が尻をわしづかむ。
きものの上からとはいえ、気持ちが悪い。
さすがに、男を押しのけようとした。
そのとき。
「おい、なにをしているッ」
叱咤するように問う声が飛んできた。
天人がふたり近づいてきて、男を乱暴にうしろへとやる。
すると、男は抵抗せずにあっさりと桂から離れた。
桂は、ほっとする。
もちろん、その気持ちを顔に出さないようにした。
その一方で。
「手を出すなと言っておいただろうが!」
天人が男に向かって怒鳴った。
この部屋まで先導した長身の天人は、細い眼をいっそう細くして、氷のような冷たい視線を男に投げかけている。
しかし、それらに対し、男にまったく気にした様子はない。
「ちょっと触っただけだ。このぐらいで値が下がったりはしねェよ」
ニヤニヤ笑っている。
さっき怒鳴った天人は言い返す言葉が見つからなかったらしく、悔しそうに口を引き結ぶ。
長身の天人は表情を崩さず、冷ややかに男を見ている。
「そのことと、我々があなた方と交わした契約は、別の話です。契約の際に提示した条件は履行していただきます」
「さもなければ後金は払わないってか。そりゃ、困る」
男は肩をすくめた。
そして、歩きだし、悠然と去っていく。
男のうしろ姿が見えなくなったあと、長身の天人が桂の正面に立った。
手かせをはめられた桂の腕をつかむ。
「この部屋で、おとなしくしていてください」
そう告げ、手かせを外した。
だが、その声も視線も、ひどく冷たい。
この宇宙海賊の天人にとって桂は高額商品で、だから丁寧に扱う。
けれど、もし商品としての価値が無くなれば、桂は無茶苦茶に踏みつけてもかまわない存在なのだろう。
長身の天人は身をひるがえした。
他の天人たちを引き連れて、部屋から出ていく。
戸が閉まった。
厚い戸だ。
蹴り倒そうとしても不可能で、足を痛めて終わるに違いない。
ひとり残された桂は、部屋の中を見て回る。
寝台があり、机と椅子があり、厠があり、風呂がある。
あの天人の言ったとおり、必要最低限のものはそろっているようだ。
しかし。
やはり独房だ、と思う。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio