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ゆらのと

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厚い戸はこちらからは開けることができない。
窓がふたつ、戸と、その反対側の壁にあるが、はめ殺しになっている。
部屋に閉じこめられている。
けれど、劣悪な牢獄にいるのよりは、マシだ。
そう思うものの。
狭いというほどではなく、物もある程度はそろっているが、それでも、四方にある壁や戸が冷たく立ちふさがっているように見え、息苦しさを感じる。
桂は椅子を壁側の窓のほうに移動させた。
椅子に腰かけ、窓の外へ視線をやる。
夜の帳の落ちた風景が見える。
少しまえには、そこに桂もいた。
今は天人が数人いるだけで、しかも、皆、この船のほうへと慌ただしく寄ってきている。
あそこにいる全員が船に乗りこんだら、タラップは仕舞われるのだろう。
そして、いよいよ出航するのだろう。
新八が解放されてから、今まで、たいして時間は過ぎていない。
間に合うはずがない。
窓から外を眺めながら、そう思った。
新八や、銀時や、神楽の姿が、彼らだけではなく、様々な者たちの姿が、頭に浮かんできた。
だが、思い出したくない者の姿まで、あらわれた。
さっき、身体を触ってきた、あの男。
あの男の無骨な手が、身体の上を這っていた。
卑猥なことを言われ、さらに、尻をわしづかみにされた。
その手の感触が、思い出したくないのに、肌によみがえってくる。
不愉快だ。
しかし。
これから先のことを考えれば、あれぐらい、気にしてはいけないのかもしれない。
すべてを覚悟した上で、ここに来たのだから。
桂は窓から眼を離した。
直後。
携帯電話が鳴った。
そういえば、どうせ宇宙では使えないだろうと思いながらも、つい持ってきたのだった。
だれからだろうか。
桂は携帯電話を取り出して、画面を確認する。
けれど、表示された番号に心当たりはなかった。
携帯電話からかけているらしい。
とりあえず、電話に出ることにする。
「はい」
「桂か」
その声を聞いて、胸の中で心臓が大きく跳ねた。
驚いた。
心底、驚いた。
「……銀時」
作品名:ゆらのと 作家名:hujio