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ゆらのと

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言い返さなければ。
そう思うのだが、言葉が見つからなくて、黙ったままでいる。
すると。
「特になにもなくたって会いたいぐれェなんだからな」
銀時は続ける。
「今はもっとだ」
いつもより低い、真剣な声。
「すげー会いてェ。会いたくて、たまらねェ」
それが耳に響く。
「会って、その顔、見て、おまえに触れてェ」
思わず、眼を閉じた。
以前に会ったときに触れられた記憶が、身体によみがえってきた。
銀時のその手のひらが、今、実際に肌の上にあるように、感じる。
その感触と温もりが、さっきあの男に身体をまさぐられた不快感を消し去っていく。
駄目だ、銀時を止める方法を考えるべきだ。
頭の片隅で、理性が冷静に告げた。
けれども、心が大きく揺れ動いていて、考えようとしても、その揺れが邪魔をして、うまくいかない。
「まえに、一生大切にするって言ったよな」
さらに銀時は言う。
「一緒にいなけりゃ、できねーよ」
激しい感情をぶつけるように、告げた。
その言葉が、大きく揺れ動いていた心を強く打った。
なにかが決壊してしまった気がした。
理性が働かない。
心が激しく揺れて、身体が頭まで感情に支配される。
泣きたくなってしまった。
悲しいわけじゃない。
自分の中に理性では抑えこめないほどの想いがあって、それがあふれ出るように、泣きたくなってしまった。
俺だって会いたい。
会って、触れたい。
特に今はこんなふうに閉じこめられてたったひとりでいて、これから先のことを思うと不安で、だからこそ、いっそう、そばにいてほしい。
弱くて馬鹿みたいだが、それが本音だ。
その本音を暴き出された。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio