ゆらのと
車が動きだす。
近くに止まっていた何台もの車が、ついてくる。
左右には桂よりも大柄な天人が座っているので視界が良好だとはいえないが、それでも窓から外の景色が見えた。
舗装された道路が何本も伸び、その上を車が江戸では考えられない速さで走っている。
まわりにある建物はいくつも層のある塔に似て、天を突こうとするかのような高さだ。
通りすぎていくのは、初めて眼にする風景ばかりである。
異国、いや、異星に来たことを実感させられる。
地球からはあまりにも遠く。
その遠さを思うと、胸の中の不安が色濃くなる。
けれども、桂はうつむかず、表情を崩さない。
平然と背筋を真っ直ぐに伸ばしたままでいる。
車は付近ではひときわ大きな屋敷のまえで止まった。
大人ふたりが肩車してもまだ手が天辺に届かなさそうな高い塀が続いている。
先端が矢のように鋭く尖った柵状の門も高く、そびえ立っている。
まるで巨大な牢獄だ。
桂はそう感じた。
門が開き、その向こうへと車は入っていく。
広い庭に迎えられる。
噴水があり、見知らぬ草木が生い茂り、所々に立つ外灯の黄色や橙や赤や水色の光が闇からそれらを照らしだす。
しばらくして、車が止まった。
隣の天人にうながされ、桂は車からおりる。
桂の乗っていた車のあとをついてきた車も庭で止まり、そこから宇宙海賊たちがおりてきた。
彼らに囲まれて巨大な建物のほうへ進む。
色鮮やかな装飾のほどこされた玄関の扉のまでまで行くと、立ち止まった。
ほどなくして、その立派な扉が重たげに開かれる。
ぐいっと腕を強く引っ張られた。
桂は歩きだし、中に入る。



