ゆらのと
反射的に身体が動いた。
男を突き飛ばして、その腕から逃れる。
さらに攻撃しようとしたが、そうするよりまえに宇宙海賊たちにつかまった。
「おとなしくしろッ」
怒鳴り声が鼓膜を震わせる。
左右とうしろから、強い力で動きを封じられた。
それでも桂は弱気にならず、押さえつけてくる力に逆らって真っ直ぐに立ち、男をにらみつける。
だが、男はひるまない。
それどころか、頬をゆるませ、また近づいてくる。
すぐそばで足を止めた。
その太い指が顎をつかんだ。
いっそう強くにらみつける。
男は眼を細め、笑う。
「綺麗な顔だ。私の好みの顔だ。その気性も私の好みだ」
嬉しそうにゆっくりと話す。
「以前にこの者たちに、違う星の小さな国の姫君をさらってこさせた。美しくて、気高い。私の好みそのものだと思って、眼をつけた。だが、ここに来たときにはすっかりおびえてしまっていてね。気高さが無くなってしまっていた。それでも可愛がってやったのだが、あっというまに壊れてしまった。つまらなかったよ」
まるで玩具の話でもしているかのようだ。
自分勝手きわまりない。
「だが、おまえは違う。気高さを失っていない。その誇り高さが、私の胸をおどらせる。私に滅茶苦茶にされて、おまえは、恥辱の中で一体どんな顔を見せてくれるんだろう」
「ふざけるな」
うなるように低く桂は吐き捨てる。
しかし。
「その声もいい。その唇から、苦痛の声があがるのが、悦楽の声があがるのが、楽しみでならないよ」
男はますます嬉しそうな表情になる。
気味の悪い想像をしているのを感じ、桂の胸はむかつく。
けれど、なにか言えば、この男をまた喜ばせるだろう。
桂は口を閉ざしたままでいる。
「おまえには大金を払う価値がありそうだ」
男が顔を近づけてきた。
だから、桂は宇宙海賊たちに拘束された状態で、精一杯、顔をそむける。
「おまえは私のものだ」
そう男はささやいた。
桂の肌は男の体温を感じて、ざわめく。
嫌だ、と拒否している。



