二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゆらのと

INDEX|189ページ/373ページ|

次のページ前のページ
 

「……行きましょう」
少しして、トアラが先ほどまでと比べると小さな声で告げた。
相変わらず声も表情も冷たかったが、桂は安堵した。
男の粘着質な視線を感じながら、部屋を出る。
トアラに先導されて長い廊下を進む。
しばらくして、トアラは足を止めた。
その近くにある部屋のほうを向き、扉を開ける。
彼女のあとについて、桂はその部屋の中に入った。
部屋の灯りは、待ちかまえていたように、ともされていた。
室内を見渡す。
さっきいた部屋のことを思えば小さく感じるが、充分広く、あちらこちらの装飾も豪華だ。
部屋の中央には寝台がある。
ひとりで寝るには広すぎるような大きさだ。
紗のような薄くてひらひらした布が天井から寝台の側面まで垂れさがっている。
自分の置かれている立場を考えると、その妙に華やかな寝台が眼について、気分が重くなった。
トアラがすっと近づいてきた。
そして、桂の手に触れた。
さっき男から渡された鍵を使い、手かせを外す。
手かせが外されると、やはり、桂はほっとした。
トアラは手かせを持ち、少し身を退く。
「あとで夕食をお持ちいたします」
そう無表情で言い、流れるような動作で身体の向きを変えて部屋から出ていく。
部屋の扉が閉められる。
残された桂は、なんとなく歩き始めた。
広い部屋の中を見てまわる。
やがて、窓のそばで立ち止まった。
窓から外を見る。
広大な庭だ。
それを眺めながら、この屋敷の主である男のことを思い出した。
あのとき感じた反発や嫌悪までよみがえってくる。
銀時以外の男と性的な関係を持つことはしたくないが、あの男は特にそうだ。
抱き寄せられだけで悪寒が走る。
絶対に嫌だ、と思う。
だが、避けられないかもしれない。
耐えなければならないかもしれない。
桂は敵地で味方がひとりもいない状況であることに、あらためて、心細さを感じた。

現在いるのは、コルド星のセリヤ国である。
セリヤ国はこの星では一番の大国だ。
桂がいるのはセリヤ国の首都、モサベラである。
モサベラは、日本よりも気温はやや高く、雨があまり降らないため乾燥している。
そして、季節は夏だ。
屋敷の主の名は、アジン。
富と名誉を先祖代々から受け継ぎ、国王とも親しいという。
そんな説明を、桂はトアラから朝食後に聞いた。
今は、昼を過ぎてしばらくした頃である。
桂は浴室にいた。
もちろん浴室も広い。
そこで湯を身体にかけていると、気配を感じた。
桂は緊張し、浴室の出入り口のほうに眼をやる。
そこに、ここに案内したときとは違う薄い着衣を身にまとったトアラがいた。
無表情で近づいてくる。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio