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ゆらのと

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カッと羞恥が胸を焼いた。
それはさっき感じたのよりも強い。
特別な関係があるわけでもない女性に、自分の裸を、うしろではなくてまえを、向ける。
それも上から下まで確認されるために。
「……こうした確認はあなたと同じ性別の者のほうが良かったのかもしれませんが、アジン様がそれをゆるしませんでした。あなたの裸を他の男に見せたくないそうです」
抵抗を感じて桂が動けずにいると、トアラが言った。
温もりが一切感じられない声だ。
けれど、先ほどからそうだが、トアラは必要以上のことまで話している。
味方ではない。
だが、敵でもない。
いや、感情を出さないぎりぎりのところで、思いやってくれている。
そんな気がした。
桂は、一度、口で息を吸い、それを静かに吐き出す。
そして。
「これも君の仕事なんだろう」
「はい」
思い切って、身体ごと、トアラのほうを向いた。
トアラと眼が合う。
瑠璃色の堅い瞳。
その眼が真っ直ぐにこちらを見ている。
しかし、その眼はそらされた。
視線の先が桂の顔からその下へと移動する。
確認を始めたのだ。
上から下まで、桂の身体を眼で確認する。
その視線を感じながら、桂は胸を張って立っていた。
胸のうちには、焼けつくような羞恥がある。
上から下降してきた視線は、もちろん性器も確認するだろう。
こんなことぐらい。
そう思うのだが、どうしても抵抗がある。
しかし、耐える。
胸のうちのことを外には出さないようにして、毅然と立ち続ける。
しばらくして。
「……古傷がいくつかありますが、それ以外は、綺麗な身体です」
そうトアラが告げた。
確認を終えたのだろう。
ほめられても嬉しくはなく、桂は複雑な気分になった。
だから、黙ったままでいる。
「あなたは攘夷志士で、しかも攘夷志士の中でも指導者的な立場にいると聞きました。その古傷は天人と戦ったときのものですか」
トアラが冷静な声で聞いてきた。
つい、桂はトアラのほうを見る。
天人と口にしたとき、トアラはその中に自分も含まれていると考えたのだろうか。
もしそうだとしたら、桂は自分たちにとっては害を与える存在で、敵だと見なすのではないだろうか。
それでも。
「ああ、そうだ」
嘘はつけなかった。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio