二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゆらのと

INDEX|192ページ/373ページ|

次のページ前のページ
 

「愚かなことをしていると思うか」
今度は逆に桂が問う。
トアラは少しのあいだ考えるように黙っていた。
その口が開かれる。
「いいえ」
否定した。
「私は詳しいことまでは知りませんが、他国の者たちが武器を持って押しかけてきて、友好的ではなく威圧的に外交を迫り、さらに政治の中枢を支配下に置いて自分たちの都合の良いようにその国を変えてしまうというのは、侵略と言っていいでしょう。侵略された国の民が侵略者と戦うことは、どの星の歴史を見ても自然なことであり、愚かだとは言えません」
抑制のきいた回答だった。
その瑠璃色の瞳は先ほどまでと変わらず硬く、感情がまったく浮かんでいない。
生まれつき感情がないようにさえ見える。
だが、これまでのトアラの話した内容から、顔や声からは感じ取ることのできないなにかを、うっすらと感じる。
君は敵なのか。
そう聞いてみたくなった。
しかし、やめておく。
話の内容から感じ取ったなにかが、桂の気のせいではなく、そのとおりであったとしても、ここまで自らを制御している相手であれば、自ら進んで話す気がなければどうにもならないだろう。
もしもトアラに感情があり、それをここまで抑えこんでいるのなら、そうするだけの理由があるのだ。
そして、それは間違いなく、この屋敷の主のせいだろう。
彼女の置かれている立場を考えれば、抑えこんでいるものを引き出すのは難しいし、引き出すのは酷なことかもしれない。
「……それでは、失礼いたします」
トアラは事務的に告げながら礼をした。
頭をあげ、姿勢を正すと、踵を返す。
薄い着衣しか身につけていない背中に、鮮やかな青色の長い髪が滝のように腰まで流れ落ちている。
その去っていく後ろ姿を、桂はしばらく見送った。

部屋には薄闇が広がっている。
灯りは橙色にぼおっと光る小さなもの以外は消してしまっていた。
扉の向こうからも、物音は聞こえてこない。
桂は寝台の上の夜具の中にいた。
上掛けは季節が夏であるためか薄く軽く、絹織物のような肌触りである。
それに対して、敷布の下の布団は厚みがあるが、布団の中身はかなりやわらかいものであるらしく、桂の身体を優しく受け止めてくれる。
枕も同じように、ふんわりとしている。
寝心地はいい。
だが、眠れない。
こうして夜具に身を横たえ、まぶたを閉じ、眠ろうとしても、意識が暗闇の中に落ちてくれなかった。
頭に、これまでのことがいろいろと浮かんできた。
そして、これから先のことをつい考えてしまう。
眠って身体を休めなければならないと思うのだが、神経がたかぶっていて、眠たくならないのだ。
ふと。
部屋の扉が静かに開けられたのを、感じた。
桂は閉じていたまぶたを上げる。
だれかが部屋の中に入ってきた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio