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ゆらのと

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まさか、この屋敷の主か。
夜ばいをかけてきたのだろうか。
あの男は桂をつれてきたということで宇宙海賊に大金を支払っている。
桂には利益はなく、むしろ不利益ばかりだ。
しかし、あの男は大金を支払ったことで桂を自由にできる権利を得たと思っているだろう。
今、その権利を行使するために、この部屋に来たのだろうか。
桂は上体を起こした。
こちらに近づいてくる者がだれであるのか、確認する。
薄闇の中、足音をしのばせてやってくるのは、あの男ではない。
女だ。
「……どうか、お静かに願います」
トアラが寝台の横で立ち止まり、声をひそめて言った。
「一体どうしたんだ」
桂も声をひそめ、問う。
「おつれしたいところがあります」
「……この屋敷の主の部屋か」
わざわざこの部屋まで足を運ぶのではなく、自分の部屋に来させようとしているのか。
そう桂は思った。
だが。
「いいえ」
トアラは否定した。
その眼が伏せられる。
「私が今していることを、アジン様は知りません」
つまり、主人に命令されてしていることではなく、トアラ本人の意志による行動ということか。
それも、おそらく、主人に知られるのはまずい行動なのだろう。
「わかった」
桂は小声で承諾し、寝台から降りた。
トアラとともに部屋を出る。
廊下も、灯りは小さくおぼろげなものしかともっておらず、薄暗い。
慎重に歩くトアラのうしろを、桂はついていく。
気配を殺すのは得意だ。
長い廊下を、途中で曲がったりしながら進み、やがて、階段をおりた。
桂の部屋は一階にある。これまで歩いてきた廊下も、もちろん一階である。
だから、階段をおりた先は地下だ。
地下の廊下をしばらく進むと、つきあたりに部屋の扉があった。
その近くでトアラは足を止めた。
桂も立ち止まった。
すると。
「……もし、驚かれても、大きな声をあげないでください」
トアラが桂のほうをふり返らずに告げた。
そして、扉を開ける。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio