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ゆらのと

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だが、ここで倒れるわけにはいかない。
桂はしっかりと立ったままでいる。
「……さっき、君はここにいる者たちを助けてくれと俺に頼んだ。俺が引き受けたとして、君はそれを助けてくれるのか」
気分の悪さを無理矢理にしまいこんで、桂はトアラに聞く。
「もちろんです」
「だが、それは君の身を危うくするのではないのか」
「覚悟の上のことです。命も賭けましょう」
「それだけ覚悟しているのなら、どうして、これまで、逆らおうとしなかったんだ。なぜ、あの男の悪事を告発しようとしなかったんだ」
「過去に何度か、この屋敷の使用人が告発しようとしました。しかし、訴えに行く途中で消されるか、訴えに行った先で消されるかして、いずれも失敗に終わりました。莫大な富と強い権力を行使されて、ひねりつぶされたのです。言い訳ですが、目的がある以上は簡単にひねりつぶされるわけにはいかないのです」
トアラの言う目的とは、ここにいる者たちを助けることだろう。
たしかに、あっさり消されてしまっては助けることができなくなる。
「だが、それにしても、なぜ、俺に頼む」
「あなたは戦う人だと思ったからです。宇宙海賊にとらえられて地球からこの星につれてこられ、手かせをはめられていて、それでも、あなたはアジン様を攻撃し、にらみつけました。その光景を見て、私の胸に小さな光が生まれました。希望を見つけたような気がしました」
トアラの声が、ふたたび、強くなる。
「私はこれまで感情を殺して、心なぞないようなふりをして、この屋敷で働いてきました。感情が動けば、アジン様に眼をつけられかねない。アジン様に眼をつけられたら、ひどい仕打ちを受けることになる。私はもともと奴隷のように売られてきた身ですし、逃げたくても逃げられませんでした」
この屋敷は外から忍びこむのも困難だが、外へと逃げるのも困難だ。
あの男がそう言ったのを、桂は思い出した。
そして。
先ほど我が主が言いましたとおり、逃げることはできません。
そうトアラが断言したのも、思い出した。
あれは、トアラ本人のことでもあったのだろう。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio