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ゆらのと

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桂はびくっと肩を震わせた。
眼を見張り、息をのんでいる。
なにも言わない。
言葉を失っているようだ。
銀時は壁に打ちつけた拳をゆるめ、その手をふたたび桂の顎へとやった。
一気に顔を近づける。
強引に唇を重ねた。
桂が暴れる。
「……っ!」
触れていたものが離れていく。
少し距離が空いた。
桂は逃れるように伏せた顔を勢いよくあげ、とがめるような鋭い眼差しを向けてきた。
その眼差しを、銀時は受け止める。
一歩も退く気はない。
同じくらいの、いや、それ以上の強さで見返す。
そして。
口を開く。
「おまえが、好きなんだ」
心の底からの嘘偽りのない真剣な想いを告げた。
だが。
桂は眼をそらした。
その柳眉は寄せられている。
苦しそうな表情だ。
困っているのだろう。
銀時の胸に、苦いものが走る。
苦しめたくなかった。
困らせたくなかった。
だから、ずっと、想いを告げずにいた。
何度も伸ばした手を触れるまえにおろし、何度もつかまえたのに肝心なことは伝えずに放した。
桂が自分に対して抱いているのは友情だ。
それ以外のものは、ほんの少しもない。
それをよく知っている。
そして、桂はその友情を大切にしている。
友情のために、苦労をずいぶんとした。
それをよく知っているからこそ、何度も引き返した。
だが、もう引き返せない。
引き返さないことを選び、引き返せないところまできた。
もう抑えることは無理だった。
「好きだ」
終止符を打つように言った。
そして、ふたたび唇を奪った。
無理矢理にくちづける。
桂があらがう。
「……んん……ッ」
うなり、暴れて、押しもどそうとする。
桂の背後で何度も音がした。
暴れた勢いで身体を壁に打ちつけた音、そして、抵抗を封じるために壁に押しつけられた音だ。
逃れようとする桂を追い詰めているうちに、きものの襟をつかんでいた。
そのきものは寝るときのものらしい。
もともとゆるくしか合わされていなかった襟を勢いよく引っ張ると、その下に隠されていた肌があらわになった。
桂はハッと眼を見張った。
「やめろ!」
作品名:ゆらのと 作家名:hujio