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ゆらのと

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「確実なことではないが」
桂はふたりに言う。
「おそらく、銀時は過去にいろいろあったことを思い出して、一時的に荒れているんだろうと思う」
どんな過去かは言わない。
話したくない内容であるし、それに、本人の了承を得ずに話していいことではないだろう。
「これから会って話をしてくる。それでどうなるかわからないが、そのあいだ、しばらく余所にいてくれないか」
優しく穏やかに告げた。
ふと、桂の脳裏に銀時に言われたことが浮かんだ。
手ェ伸ばすんなら、覚悟しろ。
あのとき、友情以外のものは差し出せないと判断して立ち去った。
友情以外のものを求められてもどうしようもないので、関係を断ち切るしかないと思った。
それなのに、会いに行ってもいいものか。
だが、放っておけない。
こうして頼りに来た新八と神楽のためもあるが、それよりも銀時のことが心配だ。
できる限りのことをしようと決める。
「わかったアル」
神楽の弱々しかった瞳に強さがもどった。
そして、眼のまえの机に置かれた湯飲みを手に取り、茶を一気に飲み干す。
隣で新八が同じように茶を飲みきると、湯飲みを机に置いた。
「ごちそうさまでした」
礼儀正しく言ってから、神楽とともに立ちあがる。
桂も立った。
廊下のほうへ行こうとするふたりのうしろ姿を見て、ふと、気になったことがあり、それを口にする。
「銀時は君たちを傷つけたかもしれないが……」
ゆるしてやってくれないか。
そう続けようとして、ためらって、結局は口を閉ざす。
自分がそこまで言うのは出しゃばりすぎのように感じた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio