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ゆらのと

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唇を奪われる。
これでもう何度目だろうか。
しかし、何度目だろうが、好きにさせるわけにはいかない。
精一杯、抵抗する。
銀時がまた離れた。
そして、凄みのある声で言う。
「おとなしくしろ。でなけりゃ、殴ってでも、おとなしくさせるぞ」
息を呑んだ。
信じられないと思った。
こんなふうに脅されるなんて、信じられない。
よりにもよって銀時に。
一番の友人だと思っていたのに。
愕然としていると、銀時の腕が伸びてきた。
きっちりと合わせていたきものの襟をつかみ、強引に押し開く。
ハッと我に返った。
上体を起こし、銀時を押しのけて逃げようとする。
けれども、やはり銀時につかまり、あおむけに倒された。
ソファに背中を打ちつける。
さらに上から強い力で押さえつけられた。
痛みで、一瞬、眼を閉じた。
しかし、すぐに開けて、視線を銀時のほうに走らせる。
銀時が右手を拳に握っていた。
殴るつもりだ。
そう思い、その衝撃を予想して、身を堅くする。
だが。
銀時の拳は握ったときの位置のままで、こちらのほうへ下りてはこない。
その手だけではなく、完全に動きを止めている。
状況がよくわからない。
けれど、逃げるのにはちょうどいい機会だ。
そう判断したとき。
「俺は」
銀時の口が動いた。
「おまえのことが、本当に好きなんだ」
だから殴ることはできない。
そういうことなのだろうと直感した。
逃げようとしていたのに動けなくなった。
言葉に胸を打たれた気がした。
銀時は眼をそらし、横を向く。
そして、覆い被さっていた身を退き、ソファからも離れる。
もう襲われることはないだろう。
身体を起こした。
ソファに座ったまま、胸元をはだけさせている襟を合わせて握りしめる。
一方、銀時は壁の近くで立ち止まった。
「……帰れよ」
感情を殺した声で言う。
その眼はこちらのほうを向いていない。
「もう俺には関わるな。心配もするな」
淡々と続ける。
「俺のことなんざ、捨てておけ」
そう告げると、銀時は黙りこんだ。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio