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ゆらのと

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予想外の返事だった。
どういうことなのだろうか。
銀時はまだ少し桂のほうに傾いていた上体を完全に起こした。
話を聞くことにする。
「……たしかに、痛かった。それも、かなり、だ。俺にはそれを喜ぶような嗜好はないし、またやりたいとは思わない。だが、なにかの修行だと思えば耐えられなくもない」
ずいぶんな言われようだ。
痛みを与えた側としては、胸に突き刺さるものがあった。
「痛みには、耐えられる。ただ、俺の立場が、その、通常なら女のほうだろう。だから、抵抗がある」
「……そいつァ、もしかして、おまえが入れるほうをやりたいってことか」
「違う」
即座に否定された。
「そういうことじゃない。そもそも俺はおまえに限らず男に欲情したことはない」
「俺もねーよ。おまえ以外には、だが」
そう銀時が言うと、桂は眼を伏せた。
決まり悪そうな表情をしている。
「よくわからねェな。どーゆーことなんだ、つまり」
「だから、立場の問題なんだ」
「はァ?」
「……アレのことは置いておくにしても、あのあと、ひとつの布団で寝ただろう。俺は疲れていたから苦情を言う気にはなれなかったが、とりあえず背を向けた。それなのに、おまえは密着してきた」
ますますわけがわからない。
むしろ背を向けられた側のほうが嫌な気分になると思うのだが。
「それで、翌日の朝におまえが帰って、正直なところ、ほっとした。別におまえが嫌だったわけじゃない。頭が混乱していたから、ひとりで、落ち着いて、頭の整理をしたかったんだ。それなのに、おまえは、日が暮れるまえに、またやってきた。俺はどんな顔をして出て行けばいいのかわからなかった」
「どんな顔って、普通の顔、してればいいじゃねェか」
しかし、その銀時の発言は無視される。
「途中で、新八君たちのことを報告しに来たのかとも思った。だが、それだけではないようにも感じた。しかし、夜には彼らとの約束があって、その、やりに来たわけでもなかった。そのうえ、次の日の夜にまた来ると言う。朝に帰って、その日の夕暮れまえに来て、さらに翌日の夜に来る。なんでだ」
「そりゃ会いたいからに決まってんだろ」
どうしてそんなことを聞かれるのかわからない。
わかりきったことだろうに。
そう思って、桂を見る。
桂は眉根を寄せていた。
「さっきは一緒に風呂に入らないかと言った」
「ああ」
たしかにそのとおりなので、銀時はうなずく。
もっとも、あれは断られるだろうことを予想していて、ほとんど冗談だったが。
しかし、桂は深刻な面持ちである。
その眼がふたたび銀時のほうに向けられた。
そして、意を決したように、言う。
「これでは、まるで、俺はおまえの女だ」
銀時を見据えたまま続ける。
「俺は男だ。女扱いされるのには、抵抗がある」
ピシッとした強い口調だった。
あ、と銀時は思う。
ようやく、わけがわかった。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio