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ゆらのと

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「なんでだ」
「攘夷党の関係でな」
銀時は元は攘夷志士だ。
しかし、あくまでも、元、であるので、あいまいに答えた。
「……最近なんか大きなことしたって聞かねーし、真選組に居所をつかまれそうになってるわけでもなさそーだから、これからなんかするってことか」
銀時は鋭い。
返事せずにいると、続けて聞いてくる。
「で、それが明日ってワケか」
「……」
「それぐれェ教えてくれたっていいだろ。邪魔する気はねェんだし」
迷ったが、答えることにする。
「いや、明後日だ」
「じゃあ、明日はまだここにいるんだな」
「しかし、昼まえには出かけて、もどらない」
「もどらないって、ここを引き払うって意味か」
「そうじゃない、特に問題がなければここにもどってくる」
「なァ、その明後日のヤツはどのぐらいヤバいんだ」
「怪我人が出るかもしれんが、命を落とす者を出さないようにするつもりでいる。味方だけじゃなく、敵もな」
そのために時間をかけて入念に準備をした。
銀時は眼を細めて黙りこんだ。
疑われているような気がした。
「おそらく、江戸を離れなければならなくなるようなことにはならんはずだ」
もっとも、その可能性が高いというだけで、確実なことではない。
それどころか、最悪の場合、もう二度ともどってこられない。
命を落とす可能性もあるのだから。
きっと銀時もそれをわかっている。
「危ねェことすんな、なんざ、俺が言えることじゃねーけどな。あんなことがあって、こんな怪我したばっかりだしな」
銀時はそう言うと、眼をそらした。
それから首筋をボリボリとかく。
「……まったく、しょーがねェ」
独り言のように話す。
「まえに坂本のバカからオメーは俺の掌中の玉だって言われたときに、俺の手のひらにおさまってるわけねェだろって言い返したが、本当にそんな感じだ」
「ちょっと待て」
気になることがあった。
「それはいつの話だ」
銀時がこちらのほうを見て、答える。
「戦んときで、山寺に潜伏してたときのことだ」
愕然とした。
「そんなにまえなのか!? 坂本はそんな昔から気づいていたのか!? 俺はまったく気づいてなかったのに……!」
「あー、えーと、ほら、アレだ、アイツはバカだが、勘は鋭いから、な」
それにしても、あの坂本が気づいていて、そして当事者のはずの自分が気づいてなかったというのは衝撃的なことだった。
自分はかなりの鈍感なのだろうかと落ちこみ、うなだれる。
「……まァ、それはともかくとして」
銀時の声が聞こえてきた。
「手のひらにはおさまってないが、俺にとってオメーがそーゆー存在だってのは合ってる」
そういう存在とは、つまり、掌中の玉だということだろう。
思わず、顔をあげた。
眼が合う。
「嫌か」
真剣な眼差しで問いかけてくる。
「……別に」
素っ気なく答えた。
それが精一杯だった。
いつもは感情を素直に表に出さないくせに、こういうときには言葉や眼差しを真っ直ぐにぶつけてくる。
反則だと思った。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio