二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゆらのと

INDEX|97ページ/373ページ|

次のページ前のページ
 

桂は強い眼差しを静かに向けている。
話の続きを待っている。
そう感じ、気が進まなくて重たくなっている口を開く。
「一緒に初詣に行っただろ。あのあと、家に帰ったら、差出人のわからねェ手紙が届いてた。それからしばらくして、また、差出人のわからねェ手紙が届いた」
銀時は手紙二通を取り出した。
今日、万事屋は半壊状態になったが、どうやら郵便物として届けられた爆弾が郵便受けの中で爆発したらしくて、被害は玄関周辺が著しく、玄関から少し距離のある応接間兼居間の損傷はそれほどでもない。
そして、応接間兼居間でも玄関からは最も離れている窓の近くにある机は無傷で、その引き出しに入れていた手紙二通は入れるまえと同じ状態だった。
その二通の手紙を桂に渡す。
桂はそれを受け取り、眺める。
「中を見てもいいか」
「ああ」
承諾した。
そのために渡したのだから。
桂は封筒からその中に入っているものを出した。
便せんを広げて内容を読み、同封されていた写真を見る。
表情が険しくなった。
その唇がふと開き、けれどもすぐに閉じられ、さらに横に強く引かれる。
怒りを、銀時は感じ取る。
桂は便せんを持った左手を膝の上に置き、右手の甲を口元に当てた。
厳しい表情で深く考えている。
その様子を、銀時は観察する。
いったい、なにを考えているのか。
やがて、桂の右手はおろされた。
その眼が向けられる。
銀時はその鋭い眼差しを受け止め、桂が話しだすまえに、聞く。
「その字に見覚えがあるか」
手紙を見せたのは、それを知りたかったからだ。
差出人を、犯人を、知りたい。
この二通の手紙を書いたのが文面から察せられるとおり攘夷側の者なら、桂にはわかるかもしれない。
戦線を離脱し、攘夷活動には関わらなくなった自分には、調べたくても、桂以外につてがないのだ。
そうでなければ、桂にこの手紙を見せなかった。
見せたくなかった。
「いや」
桂は頭を振る。
「だれが書いたのか見当がつかん。ただし、字だけを見て、それを書いたのはだれかわかる相手は少ない。それに、これを書いたのはこちら側の者のようだが、この御時世でも攘夷関係者の数は把握しきれないほど多いしな」
きりりとした口調で言った。
もっともな話だった。
だが、それでは手紙を桂に見せた意味がない。
銀時は口を引き結んだ。
黙りこむ。
「……銀時」
桂が声をかけてきた。
「この手紙を預かってもいいか。俺にはだれが書いたのかわからんが、わかる者がいるかもしれぬ。調べたい」
「他のヤツにも手紙を見せることになるんじゃねェか。俺との関係がバレるぜ」
手紙には別れろと書いてあるのだ。
それを読めば、桂にとって銀時は友人ではないことがわかるだろう。
銀時は桂の眼をのぞきこむように見る。
桂は平然と見返してきた。
そして。
「別にかまわん」
あっさりと言った。
心の底からそう思っているような様子に、銀時は安堵する。
しかし。
「だが」
続けて桂は言う。
「もう、おまえはこの家にくるな」
銀時は眼を見張った。
桂をじっと見る。
すると。
「別れよう」
桂は告げた。
その声には決意がはっきりとあらわれていた。
銀時は口を真横に引いた。
しかし、すぐにその口を開く。
「嫌だ」
強い調子で言う。
「絶対ェ、嫌だ」
語気荒く、拒否した。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio