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Wizard//Magica Wish −1−

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−あれ、巴さん。もう帰っちゃうの?−
−また明日ね!ばいばい!−


「皆、ばいばい!……さて、これからはお仕事の時間ね!」


まどか と さやか の一つ上の上級生、特徴的な髪型の少女、「巴 マミ」は同級生と別れを告げ、杏子との待ち合わせの喫茶店へと目指していた。
無論、彼女もキュウベぇと契約をした『魔法少女』である。
マミは まどか と さやかより先に魔法少女になったため、学校でも魔法少女でも事実上の先輩なのである。

マミは人の賑わう繁華街を歩く。ちなみに彼女の右手には自分のソウルジェムを持ち、魔女か使い魔がいないか探索をする。移動中でも探索を怠らない。ここが さやかと杏子とのキャリアの差でもある。

「う~ん…最近、めっきり魔女や使い魔が姿を現さなくなったわね…私達意外に他に魔法少女がいるのかしら?暁美さん…いや、彼女の魔力は感じ取れないし…」


まどか達が魔法少女になる見滝原は魔女と使い魔の巣…と言っても過言ではなかったのである。マミと杏子が協力してなんとか一日の治安は保っていた程なのであった。
が、最近に至っては全く魔女が現れなくなってしまったのである。
確かに以前と違い、自分を含めてこの地区には5人も魔法少女が存在するわけで、臨機応変の対応も可能になった。しかしそれでもこの出現率の低下の傾向が大幅に増えているが気がかりである。
…やはりこの地区に他にも魔法少女が存在するのだろうか?


「あれ?もしかしてマミさんじゃ?」

「本当だ!お~い!マミさ~ん!!」

「え?美樹さんに…鹿目さん?」


偶然にも巡回中に今日はオフだった2人とばったり会ってしまった。
どうやらCDショップの帰りらしい。


「あれ、マミさん。ここって純回路に入ってましたっけ?」

「ふふっ!実は佐倉さんといつもの喫茶店で待ち合わせしてるのよ」

「っ!もしかして杏子の奴、またマミさんにおごってもらうつもりなのか!!?全くどうしようもないなぁ、はぁ…」

「え?どうしてその事知っているの?」

「マミさん、さやかちゃんは杏子ちゃんの事一番よくわかってるんですよ」

「なっ!!?べ、べつにそういうわけじゃないって!!マミさん!まどか はどうやら風邪ひいているみたいです!今の発言はきっと頭がウイルスに犯されて意味不明な事発言しただけなので気にしないほうが良いと思います!!」

「ガーンっ!!ひどいよ さやかちゃん…」

「(どちらかというと美樹さんの発言の方が意味不明なんだけどな…。)まぁ、二人とも!もしよかったらこれから一緒にいかない?あらかた佐倉さんがもう見回ったみたいだし」

「え?いいんですか!!?」

「でもこれから巡回なんじゃ…」

「たまには…ね?行きましょ、二人とも!」

「それじゃあ…行きましょっか!」

「ふふっ!今日はなに注文しよっかな~!」


3人は並んで待ち合わせの場所でもある喫茶店へ向かうことになった。
もちろんマミは先ほど同様にソウルジェムを輝かせて魔女の探索をし、二人も見落としがないか注意深く辺りを見渡す。


「う~ん、やっぱり今日もいないのかしら?」

「しっかし、本当に最近は見なくなりましたね~…もしかして私達美少女に腰抜かしてこの街から出て行ったのかも!!?」

「さやかちゃん、自画自賛しすぎだよ…あっ!」


−うわああぁぁあん!!!!おかぁさ~ん!!!!−

「ん、どした まどか?」

「あっ!あの子…」



自分達が歩いている数メートル先に5~6才程度の男の子がわんわん泣きながら母親を探していた。どうやらはぐれてしまったらしい。皮肉なことに、通りがかる大人達は厄介事から逃れるかのように見て見ぬ振りをする。時間に振り回され自分を最優先…という現代社会の悪い風習である。
まどか はその男の子を見かけた瞬間にその子の元へと走っていった。


「うぅぅぐすっ…えぇぇぇぇん!!」

「大丈夫、君?お母さんとはぐれちゃったの?」

「?…ひぐっ…うあぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

「うえぇ!!?な、なんで!?えっと…どうしよ…」


まどか が声を掛けても男の子は泣き止まない。次第に まどか も焦っていく。
一体どうすればよいか…


そんなときだった。


「おいおい、どうしちゃったんだい僕?お腹でも痛いのか?」

「っ!!…うえぇ?」

「えっ…えっと…」


ふと、自分の後ろから男性の声が聞こえてきた。
振り向くとそこには自分より1~2才年上の青年が男の子に話しかけていたのだ。


「うえぇぇ…うっ…うぅ…」

「ん?お腹痛いわけじゃないのか、どうしたんだろう?」

「た…多分、お母さんとはぐれたんだと思います」

「あ、そうなんだ。そっかそっか…」


青年は男の子の目の前にしゃがみ、自分のポケットから一つ、飴玉を渡す。
男の子はきょとん、とし、そのまま飴玉を舐め始めた。


「あ、泣き止んだ。よかったよかった」

「君、お母さんとはぐれちゃったの?」

「…うん」

「そっか、じゃあお姉ちゃんと一緒に探そうか」

「…でも、ママは知らない怪しい人に着いていっちゃ駄目だって…」

「あ、怪しい人!!?…わ、わたしが…う、うぅぅぅ…」


まどか は頭を抱えその場でしゃがみ、うなだれ始めた。自分より10以上は離れる男の子に怪しいと突っ込まれてよほどショックだったのだろう。

「…ぷっ…ははっ!」

「お、笑ったぞ」

「うぅぅぅ…え?」

しかし、そんな まどか の姿を見た男の子は今まで泣いていたのにもかかわらず、いつの間にか声を上げて笑い始めたのだ。何がツボだったのだかはよくわからないが、とりあえず落ち着かせることはできたらしい。


「な、なんか複雑な気持ちだけど、元気取り戻したみたいでよかったよかった!」

「君、すごいね。一瞬でこの子に笑顔を取り戻すことができるなんて、俺には絶対にできないよ」

「べつに私はそんなつもりじゃ…」

「うぅん、きっと君には、人を笑顔にする『魔法』が使えるのかもしれないよ」

「ま、…魔法?」

「うん」


人を笑顔にする魔法…。
何故か、まどかの心の中にはその言葉が何度も響きわたっていた。

笑顔の魔法。
自分は魔法少女だがそんな魔法は使えない。

使えないけど…私は自分で知らず知らずの間に使っていたのかもしれない。
もちろん、確信はないけど。

けど、なんだか嬉しい。
自分でも、だれかを笑顔にすることができるなんて。



「でもね、君だけじゃなくて」

「え?」

「俺も魔法が使えるよ」

「えっと…どういうことですか?」

「まぁ見てなって」


青年は再び男の子の目の前にしゃがみ腕まくりをする。まどか はそんな青年が一体何をするのか…と不思議そうな顔で凝視する。本当に魔法を使うつもりなのか?
…まぁ一般人が使えるわけないが。

すると、青年は腕を曲げ関節部に自分の脂肪をよせる。そのまま青年はその寄せた脂肪をもう片方の手で軽く摘み、男の子に見せつける。

「おしり」

「へっ!!?」

「ぷっ…ははははははっ!!!!」

商店街に小さな男の子の大きな笑い声が響き渡った。
作品名:Wizard//Magica Wish −1− 作家名:a-o-w