Wizard//Magica Wish −1−
とおりがかる人たちは何事か、とこちらに振り向く。
まどか はあまりにも唐突すぎる展開に直面し、口をぽかーんと開けその場に直立していた。
「わたる!ここにいたのね!!」
「あ、お母さん!!」
「お、どうやら今日はついてるらしいな」
その男の子の笑い声が聞こえたのか、自分たちの後ろからこの男の子の母親がこちらに走ってきたのだ。まどか は安心のため息をした。
「よかったね、君!」
「うん!おねえちゃん、おじさん!ありがとう!!」
「って!俺まだ16歳なんだけど!!?」
「ありがとうございます!!さあ、帰りましょ?」
「うん、ママ!ばいば~い!」
まどか と青年は男の子と母親を見送った。…若干、青年は腑に落ちない表情をしていたが。
男の子はいつまでもこちらを見続けておおきく手を振っていた。
「はぁ~一時はどうなっちゃうかと思ったよ…」
「ね?俺にも魔法が使えたしょ?」
「そ、そうですね…ははっ…」
魔法…なのか?
「そんじゃま、俺ももう行くわ。またね」
「あ、えっと…」
「ん、どした?」
「私、鹿目まどかって言います!見滝原中学校の2年生です!」
「自己紹介されたからには俺もしないとな…俺の名前は 操真ハルト。またいつか会おう、まどかちゃん」
「はい!助けてくれてありがとうございました!」
まどか は一礼をし、ハルトは軽く手を振り、そのままどこかへと去っていった。
「またいつか…か、まぁ近々会いそうな気はするけどね…あの子、魔法少女みたいだし」
ハルトが去ったと同時に後ろから さやか と マミが駆けつけた。
「ごめんまどか、なんかさっきの空気に入りづらくてさ…そういえばさっきの男の人だれ?知り合いなの?」
「うぅん、今日始めて会った人、けど悪い人じゃなかったよ」
「ここじゃあまり見かけない人ね、たまたまここに訪れただけなのかしら?」
「そうかもしれませんね…さて、解決したし、早く待ち合わせの喫茶店に行きましょう!さやかちゃん、マミさん!」
とりあえず、小さな事件は解決しその場に平穏が戻ったのだ。
3人は目的地に再び歩き始めた…が。
「っ!…ほんと…今日は一度に色々な事が起こりすぎ。2人とも、わかってるわね」
「はい…はぁ、喫茶店はまた今度だね」
「しょうがないよ さやかちゃん。…すぐ近く…っ!あの路地裏だよ!!」
3人にの身体にドクン…と衝撃が走った。正確には3人の持つソウルジェムに、だ。
最近は全く感じなかったこの感じ。
間違いない…近くに魔女か使い魔が現れたのだ。
さやか はなかなか喫茶店にたどり着けず、少々うなだれていたが今はそれどころではない。
事は一刻を争うのだ。
3人は懐からソウルジェムを取り出し、目の前の路地裏に侵入した。
少し進んだところに…それは存在した。
「あったわ。…魔女結界への入口」
「さて…リハビリ変わりにさった魔女やっつけて早く喫茶店に行こう!!」
「油断しちゃだめだよ、さやかちゃん?」
3人は同時に自分のソウルジェムを光らせた。
すると、一瞬で3人は魔法少女に変身し、魔女の結界内へと侵入していった。
…だが、その姿を暗闇から見る一人の人影があった。
作品名:Wizard//Magica Wish −1− 作家名:a-o-w