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新生勇者戦記ブレイヴサーガ・ディザスター 第89話

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るぞ。それに、我々が計画する地球規模の台頭作戦『クリスマス・オペレーション』の戦力に大
きな影響を与えるだろう・・・!!」

  男B 「ああ。その為だけに我々は旋風寺と琴吹に目をつけたのだ。戦力技術の向上だけの
為にな!!昨今、地球外の脅威が脅かす事態が引き起こっているが、我々ブラックノワールはこ
れらの勢力を制して、人類を導かなければならんのだ。」

  秘密結社ブラックノワール。榎本腱を総帥とする彼らの存在は、今まで決して歴史の表舞台
で語れることはなかった。彼らは歴史の中で常に裏に潜み、歴史を操作してきた組織なのだ。

  だが、昨今地球外の脅威にさらされる事態が引き起こったが故に、組織自体が表舞台に立つ
準備を始めた。そして本格的にそれを開始するのが「クリスマスオペレーション」なのである。

  彼らの言い分では、台頭し人類を導くといった事を言っているが、実質上はその名目を語っ
た世界侵略だ。

  榎本もこれらの話は一部の部下にしか伝えてはいなかった。故に澪達を弄んでいる輩は今回
の作戦をロボット業界革命の一環と思い込んでいるのだ。

  その輩のやり取りの映像が舞人と丈に突きつけられる。正義感の塊である舞人にとっては人
として有るまじき行為だった。

  榎本 「どうかね・・・・君達の企業機密のせいで一人の少女がこのような目に遭う。罪深
いと思わんかね?」

  舞人 「ふざけるなっっ、どう考えても貴様達が悪だ!!!彼女を解放しろっっ!!!関係
のない子まで巻き込むなっっ!!!」

  舞人のその言葉に不敵な笑みを浮かべた榎本。更に別の部屋の映像を見せた。それは紬と菫
であった。目と口が塞がれ、今にも犯されんばかりの状況の映像が映し出された。

  榎本 「では、関係者は・・・・巻き込んでもよいと??そういうことになるね?旋風寺社
長??」

  舞人は現実を疑う。そして沈黙を守っていた丈も激しく動揺し叫ぶ。

  舞人 「な・・・・・?!!つむ・・・・ぎ・・・・さん・・・?!!」    

  丈 「っっっ?!?貴様ぁっっ!!!彼女達はまだ純粋な学生だっっ!!!それ以上の事を
したらただでは済まさんっっっ!!!」

  榎本はパチンと指を弾く。すると部下の男達がスタンガンを持って舞人と丈に押し付けた。

    バジジジジジジジジイイイイイイッッ!!!

  舞人&丈 「があああああああああああああ・・・?!?」

  全身を襲う激痛と精神を襲う苦痛。二つの痛みが舞人と丈に奔る。さらに飛び交う殴打と蹴
り。

    ゴガッッ、ドォスッ、ドォッ、ドォッ・・・・ドォゴガアアッ!! ドゴッ、ガズッ、
ドゴガッッ、ドォッドォッドォオオッ、ズガドッ・・・!!

  舞人 「ぐはぁああ―――!!!」

  丈 「ぐっ・・・・!!!」

  榎本 「ふん・・・・身の程を知れ。精々屈辱を堪能するがいい。」

  床に叩きつけられた舞人と丈。心身を負傷した彼らを見下して榎本は一言吐き捨ててその場
を後にした。

  激痛が伴う身体で舞人は映像を見上げ、丈もぐったりとした状態から顔を上げた。

  二人の瞳に屈辱的な現実の映像が飛び込む。愛しき彼女、または慕ってくれる少女が汚され
ていく。

  何も出来ない、何もすることができない自分と現状に悔しさがこみ上げた。涙腺が緩み、怒
りと悔しさが混じった感情が流れ出す。舞人と丈は様々な感情が混じった咆哮を響かせた。

  舞人 「っっっ・・・・・・っぁぁあああああああああああああああっっっっ!!!!」  

  丈 「くそったれがああああああああああああああっっっっ!!!!」

  勇者としてこれまでにない屈辱を受けた舞人達を尻目に廊下を歩く榎本達。榎本は部下に現
状の確認と次の段階の話をする。

  榎本 「・・・・それで、マイトガインのデータの入手状況はどうなんだ?」

  部下 「現在、急ピッチで作業中です。」

  榎本 「作業が終わったらここを離れる。その時に今快楽に勤しんでいる奴らを囮として前
線に出す。地下に格納してある試作ロボット・デスロカリスとツェレター90を使用させろ。必
ず他のロボットも駆けつけるはずだ。時間稼ぎを行ってもらう。その後は島ごと爆破させる。」

  部下 「御意・・・ミスター・エグゼブ。」

  地下には大型のロボットがスタンバイされていた。1機は古代生物・アノマロカリス型、も
う一方はキャノン砲を両肩に担いだゴリラ型ロボットである。

  琴吹令嬢達を誘拐し、それを口実に控えた作戦の戦力強化の機密と資金を得る。その為だけ
にこれ程の所業とロボットを造ったのだ。まさに榎本は手段を選ばない男なのである。

  そして、部下が言ったように榎本には「エグゼブ」という組織内のコードネームも存在して
いた。だが、あえて紬達には本名を語った。彼のシナリオでは、今回の一件に関わったものは一
部の部下を除いて皆殺しにするつもりでいたからだ。

  榎本は先頭を歩きながらまた不敵な笑みを浮かべた。



  一方で待機していた要達は、連絡が取れなくなった舞人達の身が危険にさらされた事を考慮
し、現地へ向けて出撃していた。Jトランスポーターとバトルトレーラー特急、アームズ特急が
夜空を駆け抜け、更には突入の為のSWAT部隊のヘリが3機が飛ぶ。そしてそれらを先導する
かのように、ジェイデッカー・バーニアンが先頭を切って飛んでいた。

  要 「長時間二人との連絡が取れないとなれば、十中八九彼らの身に何かがあったと言って
いい!!だが、現地到達まで一切パトライトを点灯させるな・・・・ん?こんな時に誰だ?!」

  要がモニターマップを見ながら指示しているその時、要のスマホに連絡が来た。要は渋るも
のの、勇士朗からだとわかるとすぐにスマホを手にとって出た。

  要 「要だ!!どうしたんだ?!」

  要がスマホに出たとき、既に勇士朗はファイアージェットのコックピットにいた。ジェット
オンが響き、キャノピーを開いたまま叫びながら会話する。

  勇士朗 「要さん!!つい先程、誘拐事件ありませんでしたか?!それも桜高の生徒が誘拐
された事件ですっ!!!」

  要 「誘拐事件?!ああ、俺達はまさにその誘拐事件に直面している!!!今現在、誘拐し
た奴らの本拠地に向かっているところだ!!!」

  勇士朗 「マジですか?!!位置のデータ送ってもらっていいですか?!!俺も向かいます
!!!俺の彼女も巻き込まれたんです!!!」

  要 「何?!!琴吹令嬢の友人は君の彼女だったのか?!!わかった、直ぐに座標データを
送るっっ!!!」

  ファイアージェットやエクスカイザーの体内には、ブレイヴ・フォースメンバーとしての警
視庁関連のデータの送受信が可能になっているのだ。要は吉崎にデータ送信を命じた。

  要 「吉崎、ファイアージェットに誘拐犯の本拠地の座標を送信してくれ!」

  吉崎 「了解!送信します!!」

  それから間もなく、ファイアージェットのコックピットディスプレイに座標データが受信さ
れた。勇士朗は直ぐに詳細データを開く。