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とある世界の重力掌握

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「そうよ、護たちになにがあったっていうのよ!? 」

「ベネット......2人は『私たち』と同じ『裏側』を知る人間よ。話しても構わないわよね 」

「お嬢様が良しとされるなら。私には異論はございません 」

ベネットの言葉に頷き、クリスは2人を見つめ直す。

「よく聞いて。この国には『IRA』というテロ組織が存在するの。正式には『アイルランド共和国軍』というのだけど、かつてアイルランドがイギリスに支配されていた時代、それを良しとしない人々が作った『抵抗組織(レジスタンス)』が時代を経て変化したものなの。今回、護たちを襲撃したのはそのうちの一派.....『聖騎士団』と名乗るやつらだと分かったのよ 」

「アイルランド政府軍から、連絡がありまして『聖騎士団』が我が『エバーフレイヤ家』に対して宣戦を布告してきたというのです。ただいま私兵部隊は城の周辺に展開して防備を固めはじめております 」

「じゃは早く私兵部隊の一部を動かして、護たちを....... 」

「そうはいかんのだよ、我が娘の友人たち、今は我が城への攻撃に対する備えを急ぐ必要があるのでな。残念だか攫われた友達へ私兵部隊は回せないのだ 」

突然の声に慌てて後ろを向くクリスたちの目に入るのは、ブランドもので身を固める40代ほどの紳士。ジェラルド・エバーフレイヤである。

「お父さま! でも...... 」「安心するんだ。私から軍と警察へも協力を要請した。じきに見つかるさ。それよりここも危ない、ベネット! 娘たちを連れて『地下壕』へ行ってくれ。私はここで指揮をとらなければならん 」

「分かりました。かならず御案内します 」

それを聞いて安心したように息を吐き、階段で2階に上がっていくジェラルドを見るクリスの瞳は少し悲しげな色をたたえていた。


「さあ、ここから『地下壕』に繋がっております 」

高杉たちが案内されたのは、城の地下にある地下牢の一室だった。

「あの.......繋がってるって.....ここが地下である以上、これより下なんて.... 」

「『地下壕』はこれより更に下......地下20階にあるのでございます。ここの壁に掲げてある絵画を押すことで...... 」

ベネットが絵画を押した途端、床が急に沈みはじめた。

「沈んだ!? いや、降下してるのか? 」

「その通りでございます。この部屋じたいがエレベータとなっておりまして、地下20階までの直行となっております 」

「なんか忍者のからくり屋敷みたいね......そういえば『地下壕』ってどんなものなの?戦争中に作られてたっていう奴なの? 」

「いえいえ......そんなに古いものではございません。ジェラルドさまが作られたものでありまして.....『地下壕』という名はついておりますが........まあ、ジェラルドさまの地下の私室といったところでしょうか 」

そんなことを話している間に、エレベータは地下20階にある地下壕の入り口である鉄扉の前まで到着した。

「さあ、着きました。この扉の向こうが『地下壕』でございます 」

そういって伸ばされようとしたベネットの腕を高杉が掴んだ。

「高杉さま?どうなさったので? 」

「人の気配がする......ここには俺たち以外にも人がくる予定なのか? 」

「いえいえ、そんなはずがありません! ここに立ち入れるのは旦那さまの御家族かその関係者のみです。そして旦那さまから渡されるITパスを持っていないかぎりこのエレベータは動かせません 」

となると、中にいる誰かは『よそ者、侵入者』あるいは『家族、関係者』ってことになるが......

「クリス、美姫、ベネットさん。ここでまっていて下さい。俺の『無限移動』で扉の外を確認してくる 」

「そういえば、あなた様は学園都市の能力者でしたね 」

「ちょっと! もし扉の向こうの奴が敵だったら! 」

クリスが言い終える前に高杉はさっさと瞬間移動してしまった。

「宗兵は大丈夫よクリス。あんたがあいつに惚れてるのは分かってるけど、すこしは仲間を心配しなさいよ? 」

「バ........バカ! 私はあいつのことなんて全然...... 」

「お嬢様も、『オトコ』をもつお年頃になられたのでございますね 」

そんな会話などつゆしらず、扉の向こう側に移動した高杉だったが、その前に意外な人物がいた。

「お久しぶりですね.......あのアパート前の戦い以来でしょうか? 」

「お......お前は! 」忘れるはずもないその姿、長髪でポニーテールで巨乳で、おまけに、なんだか露出度の高い服装をし、なにより、とてつもなく長い日本刀を所持する女。

「あの日本刀ガールがなぜここに!? 」
<章=第二十二話 とある古城の不安待機>


とある古城の地下深くにある『地下壕』。そこで2人の男女があいまみえた。

1人は科学の象徴、『学園都市』暗部組織構成員の高杉宗兵。もう1人は魔術勢力の象徴、『必要悪の教会(ネセサリウス)』所属の魔術師、神裂火織。

かつて、たった一度、それも一瞬だけしか戦ったことのない2人をここで巡り合わせるとは、運命の女神は皮肉好きと言えるだろう。

「あんたは......確か、護の奴が言っていた『魔術師』って奴の1人だったよな? なんでこんなとこにいるんだよ? 」

「仕事.....いや、任務の為ですよ。アイルランド聖教からの依頼を受けて、エバーフレイヤ家当主『ジェラルド・エバーフレイヤ』を拘束して、イギリスに送る為にここで待機していたのですが、予想に反してあなたが現れたという訳です 」

「ジェラルド・エバーフレイヤって......つまりクリスの父さんを攫うってことか? なんて事をいいやがる! あいつの母さんは死んでんだぞ!? そんなあいつを更に苦しめるつもりかよ! 」

高杉の言葉に神裂の眉がピクリと動く。

「当主の妻が死んでいる?......なるほど、 あなたたちには事情が伝わっていないようですね 」

「事情って......よく分からんが、とにかくここで俺が黙って見逃すとは思ってないよな? 」

戦闘態勢をとる高杉だが、今回は得物の『機能性炸裂弾射出器』はない。つまり自分の体を使った格闘戦で挑まなければならない訳だが.........

(「正直、勝てる気はしないんだよな......」)

高杉は以前、アパート前で神裂と戦ったさい、神裂の超人的な身体能力を味わっている。

まともに戦えば、間違いなく負けることを高杉は痛いほど感じていた。

(「まともに戦えば勝ち目は薄い.....だが俺の能力ならこの空間(フィールド)から追い出すことはできる!」)

拳を握り締めて、睨みつける高杉に対して神裂は静かな視線を向ける。

「あなたは、一度私に完全に負けています。奇跡でも起きないかぎり、あなたに勝つすべなどありません 」

神裂の言葉に高杉はニヤリと口元を歪めた。

「違う....違うぜ、日本刀ガール。奇跡ってのは起きるもんじゃねえ......起こすものだ! 」

瞬間、神裂の視界から高杉は消え、次には神裂の真上から凄まじいスピードの蹴りが放たれる。
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン