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とある世界の重力掌握

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「そうだ......娘達が死んでいようが『女神の素質を持つ体』さえあれば十分なのさ。よってお前達がいくらわが娘を押さえようが、わが計画には影響しない 」

抑え笑いをしながらジェラルドは続ける。

「ただし、私の計画を頓挫させることはできるぞ。なにしろ私の計画はあの2人の体がなければ成立しないのだからな…….完全に消滅されれば私としても計画をあきらめなければならない.......だが、貴様らにそれができるか? わが娘、クリスを取り戻すためにきたお前たちにその妹を殺せるか? 」

グッと口ごもる護。確かにここでクリスの妹達を消滅させてしまえば、クリスの心にどんなダメージを与えてしまうかわからない。だがここでジェラルドの計画を止めなければ自分たちを信じ送りだしたクリスの母ラミアに申し訳が立たない。

「古門。こんな奴に選択肢を限定される必要なんてねえよ。用は俺達がこいつを倒せばそれで解決ってことじゃねえか 」

上条の言葉にはっとする護。いつの間にジェラルドに2つの選択肢しか解決策がないように誘導されかかっていた。

「その通りだぜ護。こいつさえ倒せばすべてが終わる。クリスのためにもお前に希望を託したラミアさんのためにも絶対にこいつを倒して俺たちの仲間を.......クリスを取り戻そう! 」

そう。自分達『ウォール』の仲間。学園都市の闇の中で共に戦ってきた仲間。暗部組織構成員として生きることが良いことだとは言わない。それでもこんな所で『道具』として利用されるよりはずっとましなはずだ。

「ああ。取りもどそうクリスを。元凶倒してすべて終わりにするぞ! 」

護は差し出した右手に重力を纏わせる。同時に自らにかかる重力を極端に減らし護は面目の前の敵に飛びかかる。

「重力拳(グラビティック・アタック)!」重力により極端に重さがプラスされた拳がジェラルドの顔にめり込む。

そのまま軽く5メートル吹き飛び壁にめり込むジェラルド。

「ぐふ......きさま、その能力......なるほど噂に聞いた『重力掌握(グラビティマスター)』とやらか......重力を操るとは、全くなめた力を持っているものだな 」

「なぜ、僕の力を? 」

「逆に知らん方が不自然だと思うがな......貴様、自分がイギリス清教に危険視されていることを知らんのか?我々『タラニス』はイギリスと戦い続けている組織だぞ? イギリス内部の情報をある程度つかんでいないはずがない。 禁書目録を守護するためとはいえ、貴様が東洋の聖人や天才と呼ばれた魔術師を倒したことがどういう意味を持っているかぐらい考えれば分かるはずだ 」

その言葉は護にとって衝撃的だった。イギリス清教を敵に回した?

一瞬思考停止状態に陥った護に向けて、ジェラルドは突如出現させた2振りの剣を向ける。

「甘い.......甘すぎるぞ『重力掌握(グラビティマスター)』! 」その剣から猛烈な光の波が放たれる。

「この技は.....あの時の! 」聖騎士団の砦での戦闘の時、グランが放った技。

「ヌアダの剣......お前たちはどうやら知っているようだが......こいつは量産型(コピー)ではないぞ?本物(オリジナル)だ! 」

放たれた光の波は凄まじい勢いで壁を吹き飛ばす。

「さあて.....全面戦闘の始まりだ! 」その言葉を合図に、隠れ部屋の外に配置されていた『タラニス』戦闘員が一斉に護達に襲い掛かる。

通常なら、ここで護達は終わっていただろう。魔術の専門家である哀歌は『地下壕』で戦闘中で禁書目録(インデックス)は『聖騎士団』に保護されているため魔術に対抗できる人間が上条だけでは勝ち目は薄い。だが、ここで思わぬ助っ人が入った。

「わが手には炎、その形は剣、その役は断罪! 」突如、猛烈な火炎が今まさに飛びかかろうとしていた『タラニス』戦闘員達を吹き飛ばす。

その炎を放った本人は、護達を見て、面倒そうに舌打ちした。

「やれやれ、本来なら君たちを助けるつもりなんかなかったのにねえ。僕と言う奴はよほどのお人よしのようだ 」

護は眼を疑った。そこに佇むのはイギリス清教の魔術師、ステイル・マグヌスだったからだ。

「なぜだ? なぜイギリス清教の人間がそこの能力者を守る? 敵視していたはずではないのか! 」

「僕だってこいつを助けるつもりなんて毛頭ないさ.......だが、この子の体を苦しめていた魔術を取りのぞいてもらったのは事実だし......なにより禁書目録(インデックス)が彼らを慕っている以上......僕は彼女の笑顔を守る必要があるんでね 」

ステイルがかつて記憶を失う前の禁書目録(インデックス)にした誓い。

『安心して眠ると良い。たとえ君は全て忘れてしまうとしても、僕は何一つ忘れずに君のために生きて死ぬ 』

「本来なら、アイルランド聖教からの依頼で神裂と一緒に『地下壕』で待ち伏せする予定だったんだけど、直前に『隠し部屋』の存在が伝えられたから探していたんだが......まさかここで厄介な顔と会うとはね.....正直想定外だったけど、結果的にはこれで良かったかもしれないな.....ジェラルド・エバーフレイヤ、あなたを倫敦(ロンドン)塔までお送りしましょう。下手な抵抗はよしてください 」

ジェラルドは思わぬ展開に呆然とした様子で硬直していたが、すぐにステイルをにらみ返した。

「はたして、君達総出で戦って我々『タラニス』をつぶせるかな? アイルランド最大の魔術結社でもある我々をなめてもらっちゃこまる 」

「僕が、いままでいったい幾つの魔術結社をつぶしてきたと思う? 今、僕は最高に怒りを覚えてるんだ......あの子を狙う君にね 」

ステイルの言葉に押されるように後ずさりするジェラルドに向けてステイルはルーンカードを突きつける。

「灰は灰に、塵は塵に、吸血殺しの紅十字! 」ステイルの両手から放たれる2本の炎剣をジェラルドはかろうじて避ける。

だが、当然ながら背後に控える『タラニス』戦闘員全員が避けられるわけはなく、多くの戦闘員が業火に焼かれ、炭化した死体となって転がる。

「くそが......たかが1人の魔術師如きにわが計画を潰されてたまるものか! おい!ベネット!ここはお前に任せた! 奴らを食い止めるのだ! 」

自らも剣をふるい戦っていたベネットはジェラルドの言葉に静かに頷き。ステイル達に向き直った。

隠し部屋に複数あるらしい脱出口に向かうジェラルドに向けて放たれるステイルの炎剣をベネットは水流を纏わせた剣で強引に切り裂き消滅させる。

「大変申し訳ありませんが……..旦那さまからのお達しでここから先にあなた方をお通しすることができないのですよ 」

ベネットは悲しげな視線を護達に向ける。

「わたくしとしては本来あなた方と戦いたくはなかった。しかしエバーフレイヤ家に仕える身である以上、主の命令には従わなければないのでございます 」

ベネットはおのれの持つ剣に目をやる。

「この『報復者(フラガラッハ)』も、もうずいぶん働きました。正直、この戦いを最後にしたいのでございます......お覚悟ください、御一同様。手加減はいたしませぬので! 」
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン