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とある世界の重力掌握

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護の知識の中では、美琴が関係する一大イベントといえば、姫神をめぐる一件の後に起こる一方通行(アクセラレータ)が関係する一件しか思い当たらない。そして、それはもっと先に起こるはずの出来事のはずなのだ。

ポケットに入れた携帯を取り出し日時を確認する護。

携帯の示す日時は、8月15日。

「(8月15日に、なにかあったっけ?) 」

疑問に思いながら護は第1話で上条が美琴と出会う某ファミレスで美琴と向かいあうことになった。


「それで....... 僕に協力してほしいことって何? 」

ファミレスでバニラアイスにコーラを注文した護の質問に美琴はしばし黙った末にポツリと呟いた。

「アンタは、学園都市の上との繋がりを持っている.....違う? 」

「........ だとして一体なんなのさ? 」

「もしアンタが上の事情を知っているなら教えて欲しい事があるのよ 」

ひと呼吸おいて美琴は思い切ったように言った。

「絶対能力進化計画(レベル6シフト) って知ってる? 」

もちろんその言葉を知っている護は思わず表情を強張らせてしまう。

「やっぱり知ってるのね 」

「ねえ、1つ聞いていいかな? 」

ここまで来て護は決断した。遅かれ早かれ美琴が闇を知るのなら今自分がおかれている闇について話そうと。

「どうして、僕が上と関係を持っていることに気づいたの? 」

「アンタが警備員(アンチスキル)を相手に大暴れした後の出来事からよ。あれだけの被害を与えたアンタがお咎めなしなんて不自然だわ。それにアンタが入院したとき、学園都市統括理事会の1人が会いに来ていた。後で知ったことだけど名は剣崎達也。統括理事としてはもっとも新参で、如何なる理由で理事になったかも不明な人物。そんなのと関わっている以上、アンタが上と繋がってないと思う方が不自然じゃない 」

「良く知ってるね......さすがは第3位の『超電磁砲(レールガン)。 クラッキングでも仕掛けたの? 」

「うるさい! 今は関係ないでしょ。 それより質問に答えなさいよ 」

「ふ?......分かったよ。 確かに僕はその計画を知ってる。 学園都市第1位のレベル5、アクセラレータをレベル6にする計画で、その内容は君のクローンを20000体殺すというもの......だろ? 」

「知っているなら話は早いわ。 わたしはその馬鹿げた計画を止めたいの。 だから一緒に手伝ってくれない? 」

話の時期が早まったのか、はたまた自分の知識にないようなイベントなのか。 悩む護だったがそこで一つ気づいた。とあるシリーズにはと禁の他にもう1つ外伝がある。その名は『とある科学の超電磁砲(レールガン) 』。

「(そうか....そういえば外伝もあったんだっけ。 でもアニメでは今の様な状況は描かれなかったような?......そうか! コミックの方に書かれている出来事なのかもしれない。 だったら僕の知識の中にないのも頷ける) 」

「ねえ、アンタ聞いてるの? 」

「......ん? あ、ああ! 聞いてるよ! 頼みは分かった。 でもそれをするという事は学園都市第1位と戦う可能性があることを意味するんだよ? 美琴は第3位。 僕は第4位。 2人がかりで戦っても勝てるかどうかは...... 」

「たとえ、1位と当たろうと関係ないわ。 私は正面から実験をつぶして見せる 」

美琴はまだアクセラレータと直接当たった事がない。つまりアクセラレータの強さを知らないのだ。

「ふ?......なら、一つ聞かせてくれないかな? どうやって計画を潰す気なんだ? 計画には学園都市内部のかなりの研究機関が関わっているはずだよ。 それを片っ端から潰そうとすればアンチスキルに感づかれると思うけど? 」

「要は、研究所の建物とかを壊さなければ良いんでしょう? だったら私の能力でハッキングをかけて研究所の機能を再起不能なほど破壊してやれば良いのよ 」

「ハッキングって..... やっぱりしてたんだ.....怖るべし第3位.....もはやサイバーテロじゃん..... 」

「能力でアンチスキルをほぼ壊滅させた人間に言われたくないわよ! 」

「そこを突かれると痛いんだけどな.......時に、その研究機関所属の研究所の場所については把握しているわけ? 」

「ええ、ある筋からの情報もあってね。まあ、全てではないけど 」

「なら、それをすれば良いじゃないか? 別段僕を必要としなくても...... 」

「私がハッキングをかけたとして、いくらなんでも全てを機能不全にできるとは思えない。だから上と通じてるアンタに私が機能不全に出来なかった施設を破壊してほしいのよ 」

なんて、身勝手な......と思う護だったが、ここで計画を止めることはゆくゆくは上条さんの危険を少なくする事に繋がるのも事実なので口には出さない事にした。


「分かった。 だけど僕にも都合があるから、そう長い事それに関わってられないよ? 」

「無理を言ってるのはこっちなんだから分かってる。 また連絡するからその時はよろしくね? 」

そう言うだけいって美琴は、席を立ってレジで2人分払って出ていってしまった。

「(当たり前のように2人分払って出て行くとか意外にブルジュア? いや、考えてみればレベル5といえば金持ちで当然か )」

そんな事を考える護に『中』から声がかけられた。

『戦うことを決したようだが、話にあったアクセラレータという男に勝てるのか少年? 』

「(ルーか......分からない。 僕の能力である『重力掌握』で扱う力も所詮はベクトルの範疇にあるものだからアクセラレータの能力『一方通行(アクセラレータ)』の前には歯が立たないかもしれない。 あいつの能力はベクトル操作......あらゆる物の向きを操れる。それを利用した反射を使われれば僕には勝ち目はないかもしれない) 」

『少年。 君の能力でかなわないというなら私が力を貸そう。私の力を扱えば良い 』

「(そんな事を言ったって、能力者には魔術は.......) 」

『君のその力は『超能力』ではない 』

「(は!?) 」

『いや、正確には学園都市で開発された超能力ではないというべきだな。 君の力は開発されたものではなく、元から備わっているものだ。 それも、この世界ではなくべつの世界で 』

「(なんであなたがそれを!? )」

『魂が発する力で大体わかる。 だからこそ私は君がこの世界で生き抜けるよう力を貸すことにしたのだぞ? よって君には私の力を使えるはずだ。まあ、訓練を経ないと制御は難しいだろうが 』

「(訓練って? )」

『少年の精神世界で君を鍛える。 その為にはここでは不味いのだが 』

「(分かった。 アクセラレータに立ち向かう為には確かにあなたの力が必要になる。よろしくお願いします ) 」

という訳で護は、ルーの言葉に従い自分のアパートの部屋に (個室サロンに哀歌とセルティを置き去りにしたまま)向かったのだった。


『さて始めるぞ。少年 』

「(分かりました...... ) 」
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン