二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

とある世界の重力掌握

INDEX|62ページ/106ページ|

次のページ前のページ
 

「それは確かにそうなんですけど私が行ったサーチ術式はその体内のマナを魔術に変化する人間に反応するはずなんですけどそれにすら引っかからないんです 」

「そうか.......くそ、リーダーも見つからない上にこんなやっかいな案件をかかえちまうとはな。セルティ、お前はここでサーチを続けておいてくれ。俺はリーダーの捜索に加わる 」

「分かりました。気をつけてください高杉さん 」

「ああ、だがお前も気をつけろセルティ。リーダーから聞いているだろうが........今この街にはお前にとっての天敵、『吸血殺し(ディープブラッド) 』を持つ少女がいる。けして三沢塾に近づくな 」

「分かってます。私たち吸血鬼にとっては致命的な能力の持ち主。近づいてしまえば、自我があっても吸ってしまうのを止められなくなる。そして一滴でも啜ってしまえばその瞬間消滅してしまう 」

「分かってるんなら良い。 頼むぜ? お前を失ったらおれはクリスの奴に顔向け出来ない 」

そう言い残して高杉は瞬間移動した。だれもいなくなった部屋の中でセルティはぽつりと呟いた。

「高杉さん。やっぱり姉さんのこと気にかけてるじゃないですか....... 」



「起きろ、しっかりしろ護! 」

自分を揺さぶりながら叫ぶ声に護の意識は強引に現実に戻された。

「......... 上条? 僕は、いったい..... 」

「さっきインデックスの噛みつきから逃げようとして部屋から出たらお前が倒れてたんだ。それでお前の手当てをしてたんだよ。いったいどうしてあんなところに倒れてたんだ? 」

「簡潔に言うと、学園都市レベル5の第1位と戦って負けた 」

「レベル5!? てか今さらっと凄いこと言わなかったか? 」


「いやだから第1位と戦ったんだって 」

「いやじゃねえよ! ただでさえ一人で一国の軍隊を相手に戦えるのが護たちレベル5だろ?その第1位ともなれば最強の能力者ってことじゃねえか! そんな奴とぶち当たるなんて無謀なことしてる時点で信じらんねえけど、その相手と戦って生きのこってられてることの方が一番信じらんねえ....... 本当になにがあったんだよ! 」

「僕も良くは覚えていないんだ。第1位のアクセラレータには僕の重力掌握(グラビティマスター)は通じなかった。その後戦いの最中に体に激痛が走って気を失ったからなんで助かったのかは本気で分からないんだよ」

実際は自らの体に宿るアイルランドの神、ルーの力を借りて発動させる特殊な槍『緋炎之護 』を使って戦いもしたのだが、そこについては護は意図的に触れなかった。

「.......まあ、覚えてないってんなら仕方ないけどよ。護、お前無茶ばかりしすぎだぜ? アイルランドでも俺は遠ざけて自分だけ強敵と戦ってたよな。少しは俺も一緒に戦わせろよ。お前は凄い能力を持ってるけどさ、俺だってこの右手に『幻想殺し(イマジンブレイカー) 』っていう力を持ってんだ。戦うことはできる 」

「上条....... 」

上条の言葉にほろりとしかけた護だったが直後にその表情が凍りついた。

「とぉぉぉぉまぁぁぁ! 」

護の治療の為に晩飯を待ちに待たされたインデックスがその犬歯をむき出しにして上条の頭に噛り付いたのだ。

「不幸だぁぁぁぁ!! 」

絶叫を発し、痛みにインデックスを頭に齧りつかせたまま床を転げ回る上条を見ながらシュールな光景だなこれ......と冷静に考える護であった。


『....... ところで護、今日インデックスを狙った赤髪神父.....ステイルっていう奴が現れたぜ 』

インデックスの噛みつきからなんとか解放され、護が部屋から緊急搬送した冷凍食品の山 (解凍済み)により上機嫌で夕飯にありつくインデックスに若干恨めしげな視線を向けながら上条は小声で話し始めた。

『ステイルが? なんの用事だったんだ? 』

『本人の話によると、三沢塾っていう進学校に女の子が監禁されていて、その子は『吸血殺し』という能力を持っている。そして現在その三沢塾を掌握しているのが錬金術師であるアウレオルスっていう奴で、監禁されているその子を助け出すのに協力しろってことだった 』

成る程と護は思った。この辺りは作品の流れ通りだ、違いといえば上条が記憶を無くしていない為にステイルとの会話が違和感無く行われていることくらいだ。それと........

「なあ上条、スフィ........いや、捨猫を今日見たりしなかったか? 」

「? いや、見てないけどな? 」

「そうか....... 」

この世界の時系列では本来この辺りで登場するはずの子猫。スフィンクスが登場していない。それ自体は小さな変化かもしれないが示すものは重大だ。かつてのセブンスミストの時と同じ現象、時系列の改変現象。

それが作品の中のキーイベントにまで影響するようになっては護の持つ作品知識など役にたたなくなってしまう。

『上条はステイルの要求には応えるつもりなのか? 』

問われた上条は頭をかきながら、答えた。

『ああ、俺にできることならやりたいし女の子が監禁されてるなんてこと放っておけないしな 』

上条は作品知識の通り、三沢塾に向かう。それは流れ通りに行けばアウレオルスとの対決に繋がる。

作品知識の通りに物事が進むなら上条は最終的にアウレオルスに打ち勝つ。

だがすでにスフィンクスの未登場という小さな改変が確認されている以上、その展開が改変される可能性を否定出来ない。

『ところでステイルとは何処かで待ち合わせしてるのか? 』

『いや......そういえば一緒に行くとはいったけど何処で待ち合わせとかしなかった......しまった..... 」

頭を抱える上条だったがそんな上条の肩を護は優しく叩いた。

『安心しろ上条。ステイルの居場所の検討はつく。今すぐ外に出てそこに向かおう。インデックスになんかでごまかして 』

『なにで誤魔化すんだよ? 』

『それはなゴニョゴニョゴニョ........ 』

『! そんな事本当に良いのか? 』

『ああ、インデックスを守る為ならこのくらい構わない 』

ゴニョゴニョと内緒話を終えた2人はぐるりと首を回してインデックスを見る。

「! いったいどうしたのとうま?まもる? 」

「なあインデックス。一つ頼みごとがあるんだけど良いか? 」

「? 」

「夜ご飯、護や護の友達とか招いてパーティーにしようって話になったもんで俺らはその友達呼びに行くんだけどインデックスは部屋で待っててくれないか? 」

「なんでわたしだけおいてけぼりなのかな? 」

「護の奴がパーティー用のご飯盛り合わせセットを頼んでくれたんだけど誰かが家に残らなきゃそれが来たとき受け取れないからインデックスに頼みたいんだよ 」

「ご飯盛り合わせ!? わかった!まつんだよ! 」

「念の為に言っとくけど頼みものが来たからといって自分で全部食べちゃうのはなしだからね? 」

なんで分かった!? という顔するインデックスだったが、口元からよだれを垂らしているんでは思考などだだ漏れも当然である。

「とにかく絶対に部屋から動くんじゃないぞ? 」
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン