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とある世界の重力掌握

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念を押されてうんうん頷くインデックスを残し上条と護は部屋を出た。

「で.......なにやってんだお前 」

部屋を出た上条の第一声がこれである。

まあ部屋の前に例の赤髪神父、ステイル=マグヌスがいたのだからその反応も当然かもしれないが

「なにってルーンの刻印を貼り付けてるだけだが? 」

「人ん家の軒先に貼り付けるなはなぜかと聞いたんだが? 」

「あの子を守るためさ、まったく世話が焼けるよ 」

本当に面倒くさそうにペタペタとルーンの刻印を貼り付けて行くステイルだが作品知識をもつ護からすればその内心はバレバレてある。

「ステイルってインデックスが好きなのか? 」

護の言葉にそれまで冷静に刻印を貼り付けていたステイルがかカー!と顔を赤らめた。

「な、なにを言うんだ君は! 」

あれは護衛対象であってけして恋愛対象として見ているわけでは........と言い訳をするステイルを見て、この人はこの人で素直じゃないな?と思う護だった。

「君はアウレオルスを知っているのか? 」

護がその名を出したとき当然ながらステイルは驚いた。

「うん。チューリッヒ学派の錬金術師でローマ正教の隠秘記録官(カンセラリウス)って役職に就いていた人なんだよね? 現在はそのローマ正教を裏切り三沢塾で吸血殺しこと姫神秋沙を確保してそのまま占拠してるとか 」

「君は相変わらず地獄耳だな。その通りだよ。まあ、アイルランドや我がイギリスで暴れまわったことを考えれば当たり前か......... ところで今回はお仲間たちとは一緒じゃないのか? 」

「そう言えばまだ連絡していない! 上条、携帯貸してくれないか? 」

「お、おう 」

ちょっと驚きながらも、携帯を差し出す上条。それを受けとった護は自分の無事をリーダー代理をしているであろう高杉に送りセルティを除くメンバー全員の集合を指示した。

メールはすぐに返ってきた。内容は要約すると『無事なのは良かったが、メンバー全員の集合は難しい。とにかく俺とクリスと美希が向かう。哀歌は現在動くことは難しい 』というものだった。

哀歌の身が心配だったが、今は三沢塾への対処を急がなくてはならない。上条は行動が可能なメンバーだけでも三沢塾にくるよう指示を出した。

約30分程後、護たちウォールの行動可能なメンバー4人とステイル、上条を合わせた6人は問題の三沢塾の前まで来ていた。

「ここが三沢塾か......... 」

当然ながら護は三沢塾を生にみるのはこれが始めてなので、その大きさに圧倒されていたりする。もとの世界でも一般人でしかなかった護にとって進学塾と言われて思い浮かぶのは中ビルの3階に作られたものがせいぜいである。

「ねえ、一つ聞いていいかしら? 私たちは護からの情報で三沢塾に少女が捕らえられていることも錬金術師とかいう種類の魔術師が現在そこを掌握していいることも知っていたわ。でもあなたはどうやって知ったの? 」

疑わしげにステイルを見る美希にステイルはジロリとした視線を向けながら答えた。

「簡単なことだよ。なにせその情報を伝えて来たのはこの街のトップである統括理事長(アレイスター)たからね 」

ステイルのその言葉にクリスが驚愕した表情を見せた。

「統括理事長は魔術師であるあなたに直接協力を要請したの?それじゃあ統括理事長は....... 」

クリスの言葉に高杉は頷いた。

「魔術師を、より正解には魔術サイドの存在を知っているってことになるな 」

「科学の象徴みたいなこの街のトップが魔術サイドの事を理解しているってのはある意味不気味だわ。まるでなんでも理解しているみたいじゃない 」

美希の言葉はそのまま当てはまる。少なくともこの街で起きる出来事に関してならアレイスターは全てを把握しているだろう。

魔術サイドの事をアレイスターが知っていることに仲間たちは驚いているが護には動揺はない。なにしろ護は彼の正体を知っているのだから。

「(まあ.......だからと言ってそれをここで皆に話すわけにはいかないよな......そんな事をしたらそれこそこの作品世界の流れが予測できなくなってしまう) 」

「雑談はそろそろ終わりにしてくれないか。僕としては早く仕事を終わらせたいんだが 」

ステイルのやや苛立った声に護は意識を引き戻された。

「ああ、ごめんステイル。みんな分かってると思うけど当初の作戦通りには行かなくなってる。つまり学生として進学塾に潜入する策は取れない。だから正面から殴り込みをかけるしかないんだ 」

「いきなり戦闘を始める気かよリーダー? 内部には学生もいるだろう。見つかれば面倒になるぞ 」

「いや、大丈夫だよ 」

護は自分の頭の中にある知識から引っ張り出した映像を再生し1人頷く。少なくとも流れとおりなら、今のままこの世界が進んで行くなら護の知識は活用できる。

「今のままなら大丈夫だよ。中の学生に恐らく僕たちは認知されない。侵入者である僕たちはね 」

頭に疑問符を浮かべる仲間たちに構わず護はステイルを見る。

「そういう魔術がないわけでもないんだろステイル 」

「無いわけではないとは思うけど君はなんでそれがこの建物に仕掛けられてると思うんだ? 」

「勘ってやつだよ。勘 」

適当に答えて護は今度は仲間たちを振り返った。

「良いかみんな。今回の敵はこれまで戦った相手と比べても群を抜いた強さを持つ難敵だよ。ウォールリーダーとして指示する。全ての責任は僕が取る。目標(ターゲット)、アウレオルス=イザートを確認したら即座に攻撃してほしい。それによって三沢塾が多少壊れる程度なら僕の権限で許可する 」

ウォールメンバーが頷くのを確認し護はステイルの肩をポンと叩いた。

「陽動は僕たちウォールがする。ステイルは当初の目的を優先して行動してほしい。それと、アウレオルスに対抗できる可能性を持つのはこの中では上条だけだよ。だから彼を無下に扱わないようにね 」

怪訝な表情をしたステイルだったがあえて聞き返そうとはしなかった。

「よしみんな行こう。ここに囚われている少女を助けるために! 」

護の声と共に学園都市暗部組織ウォールは三沢塾へと潜入を開始した。
<章=第四十一話  とある目覚めと進学校>


三沢塾の内部は護の知識通り普通だった。

入口からすこし離れたところにある柱に血まみれで寄りかかる騎士。

ローマ正教の13騎士団の騎士の死体があることから考えるに今自分達がいるのはステイルの言葉を借りればコインの裏の世界なのだろう。

それが意味するのは自分達がアウレオルスに侵入者と判断されていることである。

「護くん。入ったのは良いけどこれからどうする? 」

「そうだな……..クリスは僕と一緒に姫神を探そう。高杉と美希は2人して派手に暴れて陽動を頼む。いま僕たちはアウレオルスが侵入者と判断した者達の為を倒す為に作った空間の中にいる。原則として生徒達には僕らが見えないはず…….ひたすら階段を使って上に昇りつつ適当に破壊工作をしてほしい 」

「了解リーダー 」

「任せといて 」
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン