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とある世界の重力掌握

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「この言葉はフランスの英雄、ナポレオンの名言よ。それともう一つ。賢者は敵にさえも愛情を注ぐので、敵はその支配下にはいる。これはあるチベットの高僧の言葉よ。護くん、リーダーであるあなたの気持ちは良く分かるわ。だけど現時点ではあの子を守るためには咲耶さんの力が必要よ........彼女は敵だった。そして今ももしかしたら敵かもしれない。だけど今護くんが復讐の気持ちを抑えて彼女の要件を受ければ良い結果が待ってるかもしれない。それにかけてみない? 私はそれにかけたいと思う 」

クリスの言葉に咲耶は祈るような眼で護を見つめる。

護は咲耶を見、クリスを見、高杉や美希、アウレオルスをぐるりと見て一息溜息をついた。

そして咲耶の方を真っすぐに見た。

「分かったよ。今は君を信じる。僕が守ろうとしている佐天さんを守ってほしい。ただ君が再び僕らの敵となった時には.......君を僕は絶対に許さないと心に留めておいてほしい」

護は右手を咲耶に向けて差し出した。

「有難うございます! 」

差し出された手に咲耶も顔全体で喜びを表しながらその手を握った。

のちに裏側では『ウォールの別働隊』として表では『学園都市最高の万屋(よろずや)』と知られることになるSAS (佐天、アウレオルス、咲耶のイニシャルから取られた)はこの時産声を上げた。




そんな風に護を中心と人々の間で話が交されていたころ、学園都市の学区の内の一つ、元々未来的な学園都市内部の学区の中でも特に未来未来な場所と称される地下学区第22学区で1人の男がとある建物の中、壁際で震えていた。

男の視線の先には法衣である袈裟(けさ)を纏った少女がいる。

黒の長髪に黄色の瞳の少女の手には数珠で鞘が巻かれている一振りの太刀が握られている。

強い瞳で見つめる少女に対して男は腰から拳銃を抜き放ち彼女に向けながら叫んだ。

「俺を殺せば、この街全てを敵に回すことになるぞ! 」

その言葉に少女は薄く笑うと一言返した。

「そんなこと......百も承知 」

彼女はおのれの持つ刀の鞘に手をかけた。

それを見て拳銃の照準を彼女の頭に向ける男の耳に少女の言葉が突き刺さる。

「数珠丸よ、邪を.....祓え! 」

建物内に男の叫びと銃声がこだまし、その銃声は1発で途切れた。

その建物から銃声が響くことは二度となかった。
<章=第四十七話 とある目覚めと新班創設>

「鈴の尼さん? 」

「はい。最近噂になってる都市伝説で第22学区のどこかを歩いているとどこからか鈴の音が聞こえることがある。それを聞いてしまった人は刀をもった尼さんに追いかけられ刀で斬り殺されてしまう.......という話なんですけど 」

「それって根も葉もない都市伝説ではないの? 」

咲耶の言葉に佐天は首を横にふった。

「話だけが広がってるならただの都市伝説なんだけど.......実際にあの学区で先週刀による殺傷事件があったのよ。なんか珍しく警察が出て事故処理したみたいだけど 」

「少女、その情報はどこから? 」

「友達のジャッジメントからです 」

「そうか.......ならば正確な情報であろうな 」

アウレオルスは優雅に紅茶の入ったコップを口に運びながら目の前のイスに座る今回の依頼者を見た。

その依頼者は白衣を着た若い女......いや少女だった。

年齢は17歳程で、白衣を着ている。ウェーブがかかった髪をしておりギョロ目が印象的な少女である。

「indeed......噂通り情報収集能力は高い......と。ここなら頼めそうね 」

「布束砥信(ぬのたばしのぶ)さん......でしたよね。それで依頼というのは..... 」

「依頼は単純よ......その噂の切り裂き魔が実在するか調査してほしいということよ 」

砥信以外の3人は顔を見合わせた。

そんな依頼をされてもまずどうやって噂の人物と接触すれば良いか分からない。

3人の表情から心を読みとったのか砥信はふと口元を緩めた。

「実在を確認する方法なら私が教える 」

思わぬ言葉に3人の視線が砥信に注がれた。

「表向きには1人だけがその噂の人物の被害にあったことになってる。しかし、実際には他にも何人もの被害者がいる。表沙汰にならないだけ。そして被害に遭った者たちに共通していることが一つある。それは...... 」

砥信は自分が羽織っている白衣をバサッと宙に広げた。

「白衣を着ていたのだ 」

「つまりその切り裂き魔が狙うのは白衣を着た人物だったってことなをですか? 」

「exactly.......正確に言うと白衣を着た研究者だがね 」

「君は、研究者なのか? 」

アウレオルスの問いを砥信は軽く頷いて肯定する。

「その歳で研究者とは.......驚きだな少女 」

「そんなことはどうでも良い。それより依頼を受けるか拒否するかどちらか決めてくれ 」

「そうだね.....どうする咲耶? 」

「どうするって........アウレオルスはどう思う? 」

「そうだな......依頼が依頼だけに即答は難しいだろうな。という訳で2日間だけ待ってくれないだろうか少女。必ず結論は出す 」

「get it.....ただし2日間だけだ。それ以上は待てない。それまでに頼む。 それでは失礼するよ 」

ドアから砥信が出て行ったのを確認して佐天がため息をついた。

「歳は対して変わらないはずなのにすごく大人っぽいなあの子 」

「それはともかくとして.......この問題は護さんたちウォールの皆さんと決めなきゃいけないわ 」

「うむ.....それは確かだな。早急に連絡を取る必要があるな 」

そう言ってアウレオルスは受話器をとった。


30分後、彼らSASの事務所、第7学区の元喫茶店の建物の中にウォールメンバー6人が到着した。

「それで......本当にその女の子は布束砥信と名乗ったんだね? 」

「はい、そうですけど....... なにか護さんは知ってるんですか? 」

「うん...... その少女は僕らが次に介入を予定している計画の参加者の一人なんだ 」

「計画? 」

首を傾げる佐天に高杉が解説をする。

「絶対能力進化計画っていう名の計画なんだが.......これはいわゆる裏側の者による計画であって表の力で止めることは難しんだよ。だから俺たち暗部組織しか計画を止めることができねえんだ 」

「その計画とはなんなのですかウォールリーダー? 」

咲耶の問いに護は頷き口を開いた。

「ずばり学園都市第1位の一方通行を絶対能力者(レベル6)にしようとする計画なんだ 」

「え? つまりは能力開発ってことじゃないですか? それなら別に....... 」

「それがこの街のカリキュラムに沿ったものならなんの問題もないよ.......ただこの計画は少々そのカリキュラムから外れすぎているんだ 」

「外れすぎている? 」

「一方通行が女の子20000人を20000人通りの状況で殺戮することで絶対能力者(レベル6)の実現を目指すという計画なのよ 」

話を繋いだ美希の言葉に佐天を始めSASの面々の表情が曇る。
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン