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とある世界の重力掌握

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「この学園都市で2万人もの犠牲者をどうやって用意したというのか?少年 」

「犠牲者を用意することは確かに難しい。民間人から攫うのはリスクが高いし置き去り(チャイルドエラー)を使った計画は御坂により一度潰された為に今や暗部ではご法度になってる。だけど手がないわけじゃないんだ。民間人から用意するのが難しいなら人権が存在しない人間を利用するんだ 」

「人権が......存在しない? 」

「そういう少女たちがこの街にはいるんだ。その名は...... 」

「妹達(シスターズ)。学園都市レベル5第3位の御坂美琴のDNAを利用して作られたクローン達よ 」

「なんかさっきから美希さんが話を繋いでばかりいますけどどうしたんですか? 」


美希が話を継いだのを見て咲耶が言った。

「それは........ 」

言い淀む美希の代わりにクリスが答えた。

「美希はね......妹達(シスターズ)の内の1人なの。正確には20000体の妹達の前に作られた試作体なの 」

その言葉に佐天と咲耶は息を呑み、アウレオルスは深いため息をついた。

「つまり......美希さんは......御坂さんの従姉妹なんかじゃなくてクローンだったんですか........ 」

「ええ.... でも気にしないで。今の私はお姉様(オリジナル)のクローンとして生きてはいないから。一人の女の子美希として生きてるから。だから別に気兼ねしないでほしいな 」

「はい..... 」

頷きつつもやはり気兼ねしてしまっている佐天だった。

「ところで話を戻すけど、その計画に参加している研究者がここを訪ねてきたんだね? それでいて研究者を襲う謎の人物の実在を確認してほしいと言ったんだよね? 」

「はい、そうです 」

「恐らくその謎の人物のせいで計画に支障が出ているんだろうね。だけどその行方を一向に掴めないからSASに頼んだのだろうな 」

「それで具体的にはこれに対してどう対応するんだ?リーダー 」

「そうだな高杉.....とにかくその研究者を襲う切り裂き魔が誰か分からなければ方策の立てようがない。ここは万が一を考えて魔術側にたつメンバーに動いてもらうことにしたいと思う 」

「つまり.......私とセルティに動けということなの? 」

哀歌の問いに護は頷く。

「SASのメンバーは総出で情報収集を頼みたいんだ。 少しでも情報は必要だからね 」

「分かりました。護さん気をつけてくださいね 」

「うむ、できるだけ情報は集めておこう少年 」

「できるだけやってみるわウォールリーダー 」

3人が了解したのを確認して護はその場の全員を見渡した。

「それじゃあ任務(ミッション)スタート! 」

護の宣言と共にその場の全員が任務の為に動きだした。



第22学区の第4階層、そこを件の鈴の尼さんこと袈裟を纏った少女が歩いていた。

彼女はこれまでにここで合計20人近い研究者を斬っている。

ここまでは対して問題なくこれた。

警備員は動かないし風紀委員(ジャッジメント)も対応が遅い為目標を簡単に突き止め斬ることができた。

だがこれまでがうまくいったからこれからもうまくいくとは限らない。

今まで通りの慎重な足取りで裏道を進む少女の耳にとある会話が飛び込んできた。

「しかし妹達だったけ? あれ、感情ってものがないのかしら? 」

「ないんじゃない?むしろあったら不都合よ。計画が立ち行かなくなるんだから 」

その不穏な会話に少女はその声のした方向に目線を向けた。

その目に映るのは、白衣を纏ったとし若い研究者。

歩いているのは路地裏、周りに人影はない。

少女はため息をつくと、腰につけている袋から鈴を取り出した。

チリン! という澄んだ鈴の音に研究者たちの動きが止まる。

次の瞬間、少女は一気に駆け出し研究者たちに迫った。

驚き、動きがとれない様子の2人の研究者を見て少女は心の中で同情しつつそれでも刀の柄を握りしめた。

「邪を払え、数珠丸! 」

その言葉と共に数珠が弾け飛び刀を封じるものがなくなる。

必殺の斬撃が哀れな研究者2人を切り裂く......はずだった。

ガギン!という金属と金属がぶつかり合う音が路地裏に響き渡った。少女の日本刀による斬撃は哀歌の腕に止められた。

「な!? 」

驚き後ろに下がる少女は哀歌の腕を注視する。いつの間にかその腕を爬虫類じみた鱗が覆い異質な姿へと変化している。

「引っかかったね......噂の切り裂き魔さん? 」

その言葉に周りに警戒の目線を配る少女。

いつの間にか少女を囲むように特殊部隊風の装備をした者たちが展開していた。ウォールの下部組織のメンバーたちである。

「はやく降伏しなさい。あなたには聞きたいことが山ほどあるの 」

セルティの言葉に少女は口元を緩めた。その余裕ともとれる仕草にその場の全員が眉を潜めたが躊躇う道理はない。

「一斉射撃! 」

哀歌の叫びと共に下部組織構成員たちが構えるサブマシンガンが一斉に火を噴いた。

弾種はプラスチック製の衝撃弾。

この状況で少女にできることはない。その場の誰もが事件の収束を予想した。

だがそうはならなかった。

サブマシンガンから弾が飛びたした直後、少女は少し腰を落とした.......ように見えた。

その瞬間をその場の誰も捉えられなかった。

目の前に広がる事後後の風景から予測される事象は、目の前の少女がその手にもつ日本刀の斬撃で迫る衝撃弾を全ての切り捨てたということだった。

「全て.....切り捨てた? 」

哀歌の戸惑う声に少女は薄く笑った。

刹那、同じく周りに展開していた構成員たちがバタバタと倒れた。

慌てて周りを見渡すセルティと哀歌だが先程までいた場所に少女はいない。

「早すぎる。こんなに早く構成員を殺るなんて 」

動揺するセルティ。その時彼女の耳元で声が囁かれた。

「安心して。あの人たちは峰打ちで気を失っただけ。私の敵は彼らじゃないから 」

思わず身構えたセルティの体を予想外の衝撃が襲った。

少女が振り抜いた数珠丸の鞘で強打されたセルティの体は一気に壁に叩きつけられた。

左手に鞘を右手に数珠丸を構える少女は哀歌を見つめる。

「あなたは龍人ね? 」

「読まれてたのね......となるとあなたも魔術側の人間.......ということ? 」

「そうなると思うわ 」

「そしてあの人離れした身体能力に、その両手に残る痕........聖人.......ってことね 」

聖人とは神の子と身体的特徴が一致する人間を指す。

有名なところではイギリス清教の神裂がいる。

だが神裂は十字教徒であるが少女は格好から判断して仏教徒である。下手をしたら異端者と見られかねない特徴をもつ少女はなぜ仏教徒でいられるのか?

「聖人? すこし違います。間違ってはいないですけど 」

「? 」

「私は仏教徒......これが意味することが分からない? 」

「なに?」

「私が仏教徒としていられる訳、それは私が仏教徒の象徴する力を持っているからよ 」
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン