とある世界の重力掌握
風が吹いているわけでもないのに空中に髪を浮かばせている少女だがその髪刀状態を直ぐに解いたらしくやがて普通の髪質に戻る。
「ふう......あなたに助けられたことは感謝してるし恩義も感じてる.......でも『人助け』の邪魔をする必要があるかな......あなたは何をしたいの?貝積継敏 」
<章=第五十話 とある理事の具体行動>
第22学区は地下に存在する。
合計10層の階層で構成される同学区内で希により研究者が襲われていた以上必ず同学区内に計画の痕跡があると踏んで調査を行った護たちウォールの面々だったのだが..........結果は大外れだった。
苦労して全階層を行き来したにも関わらず、まったく計画の痕跡を掴めなかったのだ。
となると22学区での調査は手詰まりである。
「22学区で手がかりなし......となると別の方法を取るしかないね 」
「具体的にはどうするの護くん? 」
「クリス、今日は何日だっけ? 」
「8月21日よ? 」
「(ということは、アクセラレータと上条がぶち当たるのは今日ということか.........ならこちらが下手に動かなくても計画は潰れることになるな....... そして恐らく上条さんは妹達(シスターズ)と遭遇している或いは遭遇する......) 」
護はズボンのポケットに突っ込んでいる携帯電話を取り出し電話をかけた。
もちろんかける先は上条である。
時間的には上条が下校するだろう時間帯である。
「........ん? ああ、護か? どうしたんだ? てかお前最近登校してないような?」
若干疲れた声で上条は電話に出て来た。
「それは.......まあ、後で話すよ。それより今はどこにいるんだ? 」
「? 学校前の道だけど? 」
「じゃあ今からそこに行くから一歩も動かないでくれよ? 」
「おい? そりゃどうゆう...... 」
上条が何か言う前に一方的に護は通話を切った。
今は一分でも時間が惜しい。早く高杉に上条の所まで移動させてもらわなければならないのだ。
「美希、クリス。今から高杉の協力で僕は上条の所に向かおうと思ってる。それでなんだけど......高杉が不在の間の『拠点』、魔術師の希を監禁している場所の防衛と彼女の監視を頼みたいんだ 」
「高杉の協力が必要だから私達が代わりをしろってのは理解できるけど.......防衛ってなによ? 」
「防衛は防衛だよ.......もしかしたら僕たちは統括理事を敵に回してるかもしれないんだ 」
「統括理事!? 」
「魔術師である希は、自分に計画を妨害するよう依頼をしてきたのは学園都市統括理事である貝積継敏の使者だと言っていたんだ。そして現在僕らは結果的に妨害を行おうとする貝積の行動を妨害している。それを目ざわりに感じれば潰しにくる可能性は否定できない 」
作品の中で暗部組織『グループ』は『ドラゴン』の秘密を知られたくない統括理事、潮岸の妨害を受けていた。
となると自分たちがそういう状況に陥ることも否定はできないのだ。
「そういうことなら承知したわ。アンタが戻るまで拠点はしっかり守っとくわよ 」
「任せといて護くん 」
「サンキュー美希、クリス 」
急いで高杉のいる建物目指して走っていく護。
そんな2人の後ろ姿を見送りながら美希はボソッと呟いた。
「暗部にその身を置く者は誰も信じてはならない........なのになぜあの人は私を信じられるんだろ?本当に不思議ねリーダーは 」
高杉の力で一瞬で移動し目の前に現れた護に上条は当然驚いた。
だがそこはやはり科学の街学園都市の生徒、護が高杉の能力で移動してきたことを説明したことで納得した。
そうして帰り始めた3人だったのだが、そもそもなんで護が上条と行動を共にしているのかと言えば上条と行動を共にしていれば妹達の一人と会う可能性が高いからだ。
「 御坂.....だよな?.....ん?なんだ妹の方かよ。昨日はジュースとノミの件サンキューな 」
案の定、上条が通る帰り道の公園?らしき場所で妹達(シスターズ)と遭遇した。
そこは原作通りであるのだが、本来ならその前に出会うはずの美琴は姿を見せなかった。
そこはやはり改変の影響なのだろうかと不安になる護だったが今はそれどころではない。
「感謝の言葉が目的ではありません。とミサカは返答します 」
そう返す妹達は恐らくミサカ10032号。後に御坂妹と呼ばれることになる妹達である。
もっともアニメで描かれているのと違い、軍用ゴーグルの有無でしか判別できないほど妹達は美琴に似ているため推測でしかない。
「始めまして。君が上条が言っていた美琴の妹さんだね? 僕は古門護。よろしく 」
「こちらこそ。とミサカは返答します 」
「ところでそのネコに餌をやるんじゃないの? 」
「ミサカには致命的な欠陥がありますから。とミサカは説明します 」
「致命的な欠陥.....? 」
首をひねる上条に護が補足説明する。
「発電系の能力者は無自覚に微弱な電磁波を放出してしまうために動物に嫌われやすいんだ。人間には感知できない程度の電磁波なんだけど犬や猫は感知するらしいんだよ 」
「あなたの言う通りです。とミサカは頷いて肯定します 」
と言いながらも頷いていないミサカだがそこについて突っ込んでも不毛なためあえて護は触れなかった。
「このままでは、この子猫は保健所に回収される恐れがあるとミサカは指摘します 」
「まあ確かにそうかもしれないけど...... 」
「保健所に回収された子猫がどんな末路を辿るのか知っていますか? とミサカは問い詰めます 」
淡々と無表情でしかし意思がこもった声で選択を迫られ汗ダラダラになっていく上条を見て護は思わず笑いそうになった。
その後仕方なく上条がその子猫を抱え帰り道を進むことになりようやく上条とミサカ10032号と共にBook onという本屋の前まで移動した時だった。
腰ポケットに入れている携帯が震えてメールの着信を知らせ、護は確認し、瞬時に凍りついた。
着信したメールの発信元はクリスの携帯電話。
そこにはただ一文だけが記されていた。
『拠点が襲撃受けた』
「こいつは.....! 」
驚愕する高杉と護は同じ気持ちだった。
もしやと思いクリスと美希を残してはおいたが本当に襲撃してくるとは正直考えていなかったのだ。
「高杉、今すぐ戻ろう。ごめんね美琴の妹さん、最後まで一緒には帰れない 」
「いえ、こちらこそついて来ていただいて有難うございました。とミサカは返礼します 」
「じゃあ急ごうぜ 」
「ああ頼むよ高杉 」
急いだ様子の高杉が護に手を触れると彼ごと護の姿は消える。
文字通り一瞬で拠点まで戻った護たちの目の前に広がっていた光景は彼らの予想を裏切るものだった。
「襲撃を受けたにしては被害が少ない...... 」
「ああ、だが美希の姿もねえぜリーダー 」
「確かクリスも拠点に戻っていたはず........なのにいない 」
どういうことだ?と首をかしげる護と高杉の2人。
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン