Ib ~とある美術館での物語(4)~
更にそのドアの横には、
“さっきいいものひろったよ。わたしのたからものにするの。ほしかったらわたしのいえにおいでよ”
と書いてあった。
「ここに来るまでにあった人形かしら、いいものが欲しかったら家に来いねぇ」
恐らくこのドアの先が家なのだろう。
罠かもしれないが行ってみるしかないだろう。
「さて、なにが出てくるかしらね・・・」
私は意を決してドアを開け部屋に入った。
「・・・これはまたキツイわね」
部屋にはあの不気味な人形がそこかしこに置いてあり、部屋の奥には大きな何も描かれていない絵が飾られていた。
部屋の中央には人形が置いておらず代わりに青色のビー玉サイズの丸いものが置いてあった。
「なにかしらこれ?」
触ってみるとそれはゴムボールみたいに弾力があった。
「これがいいものなのかしら?・・・とりあえずなにかに使えるかも知れないし持って行こうかしら」
そう言って私はコートの左ポケットにそれを入れた。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(4)~ 作家名:エグゼター