Ib ~とある美術館での物語(5)~
「あそこから上に行けそうだねギャリー」
「・・・」
「ギャリー?」
「・・・大丈夫よ。さ、行きましょ」
ギャリーは辛そうにそう言って歩き出した。
だが通路の半分くらいまで行くとギャリーは立ち止まってしまった。
「・・・イヴ・・・あのさ、悪いんだけど・・・先に行っててくれない?」
「・・・ギャリー?」
「アタシちょっと・・・ゴメンなんて言ったらいいのか・・・。・・・ウソなんてつきたくないけど・・・、本当のことも言いたくない・・・」
ギャリーは辛そうにそう言った。
「・・・動けるようになったら、・・・追いかけるから、先に行ってて・・・」
そう言うとギャリーは壁まで歩いて行きそこに座った。
「・・・わかった、先に行ってるねギャリー」
「・・・えぇ」
「・・・ねぇ、ギャリー」
「・・・なに?」
「・・・約束、・・・覚えてる?」
「・・・えぇ、ここから出たらマカロン食べに行くんだったわね」
「・・・約束だよ?」
「・・・えぇ」
私はそれだけ言うと歩き出した。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(5)~ 作家名:エグゼター