Ib ~とある美術館での物語(5)~
階段のところへ着くと私はまた早足で上り始めた。
階段を上っていくと声が聞こえて来た。
「・・・すき、・・・きらい、・・・すき」
メアリーの声だった。
メアリーの声だとわかったと同時に私は嫌な予感がして上る速度を速めた。
もう少しで上り切るところでまた声がした。
「・・・きらい、・・・すきっ!あはっ!やったぁ・・・!これであたし・・!」
そうメアリーの声が聞こえた後にドアが開く音と閉まる音が聞こえた。
私はその音が聞こえると一気に階段を駆け上がった。
階段を上り切り部屋を見ると、床には青いバラの花びらが何枚も落ちていた。
その中に茎だけになってしまったバラの花もあった。
「そんな・・・間に合わなかったの?」
私は茎だけになったバラの花に近付くとそれを拾った。
見事に花びらをむしられていて見るも無惨な姿になっていた。
「!・・・ギャリーは!」
私はバラを持ったまま階段を降りていった。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(5)~ 作家名:エグゼター