Ib ~とある美術館での物語(5)~
通路のところへ戻るとギャリーは壁に寄りかかった状態で座っていた。
「ギャリー!大丈夫?」
私はギャリーを呼んだが返事はなかった。
「・・・ギャリー?」
近付いてギャリーを見てみるとギャリーは眠っているようだった。
「ギャリー、起きてよ」
そう言って体を揺すったがギャリーは起きない。
「ねぇ、起きてよ。バラ取り返したよ?」
更に揺すり続けたが一向に起きる気配はない。
「ギャリー、一緒にここを出てマカロン食べに行こうって約束したでしょ。起きて先に進もうよ」
だがギャリーは起きなかった。
(私のせいだ。)
(私のせいでギャリーは・・・。)
そう思うと自然と涙が出て来た。
泣いたってギャリーが起きるわけでもないとわかっていても涙は止まらなかった。
「ねぇ、・・・起きてよギャリー!」
私は思いきりギャリーを揺さぶった。
すると“コンッ”と小さな音が聞こえた。
音のする方を見るとライターがギャリーの手の近くに転がっていた。
恐らくギャリーが持っていたものだろう。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(5)~ 作家名:エグゼター