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Ib ~とある美術館での物語(5)~

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自分の両親のことも、なぜ自分はここにいるのかも、そして自分の名前すらも。

ふと、女の子は自分の手に造花のバラが握られているのに気が付きました。

なぜ自分はこんなのを持っているのか女の子はわかりませんでした。

とりあえずそのバラを自分のポケットに入れると女の子は周りを見渡しました。

周りを見ると近くの壁に青い字で何か書いてあるのに気が付きました。

近付いて文字を見ると壁には、

“おはようメアリー よくねむれた?”

と書いてあった。

女の子が(メアリーって?)と思っていると今まで書いてあった字が消えていった。

代わりに壁には新たに

“ねぼけているのメアリー? きみのなまえじゃないか”

と文字が浮かび上がってきていた。

女の子はそこまで読むと全てを思い出しました。

自分の名前を、ここが何処かを、そして自分がゲルテナの最後の作品であることを。

“さぁ みんなむこうでまってるよ”

壁には新たにそう書かれていた。

女の子は、メアリーはそれを読むと歩き出した。

他の作品達がいる場所へと。