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Ib ~とある美術館での物語(6)~

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「・・・って急にこんなこと言われても困るわよね。ごめん、イヴ・・・」

「い、いえ。・・・え!?」

急に私は名前を呼ばれて驚いた。

「・・・あれ?誰よイヴって」

「わ、私の名前です」

「え?おじょーちゃんの名前なの?本当にイヴって言うの?」

「は、はい」

「変ね・・・アタシ別におじょーちゃんのこと知らないのに。なんか口走っちゃったのよ・・・ヘンなの」

「そ、そうですか」

「でも・・・なんか。アタシ達、前にどこかで会ったことなかった・・・?」

そう言われて私はコートを着た人の顔をよく見たが会った覚えのある顔ではなかった。

「・・・あ、いや、ごめん、変なこと聞いて・・・。今のは気にしないで・・・それじゃあね」

そう言うとコートを着た人は歩き始めた。

「ん?」

少し歩いたところでその人は立ち止まるとポケットから何かを取り出した。

「なにこれ・・・ハンカチ?こんなの持ってたっけ・・・」

その人が取り出したのは私がお母さんから誕生日に貰ったハンカチだった。

「それ・・・もしかしたら私の」

そう言いながら私はその人に近付いた。