Ib ~とある美術館での物語(6)~
「え・・・これおじょーちゃんの?」
「下の方に私の名前が入ってると思います」
「・・・あら、ホントだわ。Ib・・・名前が入ってる。でも、なんでアタシのポケットに?」
それは私も不思議思っていた。
ここへ来るときには確かにポケットに入れていたのだから。
「しかもこれ血が付いてるし・・・!」
そこまで言うとコートを着た人はなにかを思い出したようにハンカチを見ていた。
「ケガ・・・」
「え?」
「ケガ・・・したんだわ、手に・・・それで、女の子が・・・、女の子がハンカチをアタシに・・・」
「・・・」
「そうよ・・・このハンカチ貸してもらってたんだ・・・、女の子に・・・イヴに!」
「わ、私が?」
「イヴ・・・!思い出したわ・・・、アタシ達一緒にいたじゃない・・・。どうして忘れてたの?こんな大事なこと・・・!」
「???」
「ずっと二人でおかしな美術館の中歩き回って・・・。変な像に追いかけられたりメアリーに会ったりしたわよね?」
そう言ってコートを着た人は私を見た。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(6)~ 作家名:エグゼター