Ib ~とある美術館での物語(6)~
二階へ上がるとそこは私が見覚えのある場所だった。
「ここ、私が見た美術館の二階と同じだ」
「どうやら作りはアタシ達がいた美術館と同じようね」
「私、ここに来る前にあの奥にある絵を見ていたの」
私はそう言うと奥に飾ってある大きく長い絵を指さした。
「へぇー、これが」
そう言ってギャリーは絵の方へ向かった。
「えーっと、『絵空事の世界』ねぇ」
ギャリーが読んでくれた絵のタイトルの下にある説明文には、
“一度入るともう戻れない、ここでの時間も全て失う。それでもあなたは飛び込むの?”
と書いてあった。
「・・・ねぇ、この絵の場所アタシ達がいた美術館じゃない?」
「・・・言われてみればそうかも」
私がそう言うとギャリーはタイトルの下にある絵の説明文を読んだ。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(6)~ 作家名:エグゼター