Ib ~とある美術館での物語(6)~
「・・・イヴ」
「え?」
走り出そうとした瞬間、聞き覚えのある声が聞こえ私は声のした方を見た。
「イヴ!どうしたの?ほら、来てごらん!」
「・・・」
「・・・イヴ?」
「・・・お母さん?」
私の視線の先にはお母さんがいた。
「イヴ!やっと見付けた!」
「お母さん・・・」
「もう・・・探したのよ!ダメじゃない、勝手にこんなところまで来たら!」
「ご、ごめんなさい」
「ホラ、お父さんも向こうで待ってるわよ。行きましょ?イヴ」
「イヴ!ねぇ、何しているの?早く来なさいよ!」
「でも、お母さんが・・・」
「イヴ!知らない人について行ったらダメよ?何回も教えたよね?」
「ほら、怖くないわよ?大丈夫だから!」
「イヴ!お母さんの言うこと聞けないの?知らない人について行っちゃダメ!もう二度とお母さんとお父さんに会えなくなっちゃうわよ?」
「イヴ!ほら、ひっぱってあげるわ!」
「だから、おいで・・・」
「だから、手を出して・・・」
「「イヴ!!」」
作品名:Ib ~とある美術館での物語(6)~ 作家名:エグゼター