Ib ~とある美術館での物語(6)~
「離して!」
「お前もここに残れ!」
「イヴの邪魔はさせないよ!」
メアリーはそう言いながらお母さんに向かって体当たりをした。
それにひるんでお母さんは掴んでいた私の腕を放した。
私はそれを確認するとギャリーの元へ駆け寄った。
「イヴ!さぁ、手を出して」
「うん!」
私は絵の中にいるギャリーに向かって手を伸ばした。
それを見てギャリーは私の手を掴んだ。
「よし!」
ギャリーの声が聞こえると同時に私は絵の中へ引っ張られた。
絵の中に入る直前、私は後ろを振り返った。
振り返るとメアリーが口を動かしているのに気が付いた。
それは私が絵に入るまでのわずかな時間だったが、私にはメアリーが何を言っているのかがわかった。
そして、絵に入るとすぐに私の意識は薄れていった。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(6)~ 作家名:エグゼター