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Ib ~とある美術館での物語(6)~

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「あなたの相手なんてしてられないの!」

そう言ってわたしはポケットにしまってあったパレットナイフでそいつの胸を刺した。

「グッ!きさまっ!」

「念のため持っておいてよかったわ、コレ」

私がそう言うとそいつは苦しそうに膝をついた。

「・・・くそっ!だが、お前はそこから出られん!」

「どうして?」

「あの二人はバラを持っていただろ?ここを通るにはバラが必要なんだ、それもここへくるときに私が渡したバラがね!」

そう言うとそいつは勝ち誇ったように笑った。

「・・・それってこれでしょ?わたしも持ってるわ」

「はっ!お前のは造花だろ?それでは駄目だちゃんとした花の・・・」

そこまで言ってそいつは言うのを止め、私の持っているものに釘付けになった。

私の持っている黄色いバラに。

「な、なぜだ!お前のはもう造花に・・・」

「そんなの知らないわ。でも、記憶が戻ってもしかしたらと思って拾いに戻ったら花に戻っていたわ」

「だ、だが。お前はここにいる時間が長かった。あの二人と同じように出れるかわからないぞ?」

「だからそれを試すんでしょ」

そう言って私は絵に向き直った。