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狙われるモノ2

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「知らん。それより大人しく入院していたまえ。」
「俺はっていうか、この体はもうどこも悪くない。退院させろっ」
「そんな凶悪な顔をしたアルフォンスを外に出すわけにはいかん。」
「てめえは凶悪な顔で会議に行ったり、捜査したりしたじゃねぇか。それに大佐のときより、そんなにアルから離れていないっ!!」
「自覚がないのか。そんなにアルフォンスは騒々しくはない。」
「ウルサイっ!!とにかく、ナギに会いに行く。いい加減、元に戻りたいんだっ!!探しに行くくらい、いいだろう?大体、弟子が入院してるのに一度も見舞いに来ないなんて、薄情なんだよ。」
「・・・いろいろ事情があるのだよ。」
「事情?・・・大佐は本当にナギがどこにいるのか知らないのか?」
「いや、私もナギには会っていない。とりあえず、病室にいたまえ。そのうち見舞いにくるだろう。行き違いになるかもしれんしな。」
疑っている目で見られるが・・・そんな視線で本心を晒すことはしない。
「・・・わかったよ。じゃ、なんで魂の入れ替えがあったか」
鋼のがしつこく質問をしようとしたとき、病室に突然、ソレは現れた。
「アル様ぁぁぁーーー」
「メイっ!?」
鋼のの体のアルが驚いている。
メイ・チャンは病室に突撃し、当然のことながらアルフォンスの姿の鋼のに突進しながら抱きついた。
「大丈夫ですか?入院してるって聞いて、ビックリしました。」
「痛ってえな、チビ。今ので大丈夫じゃなくなるだろうがっ」
「アルフォンス様?」
「兄さん、メイになんてこと言うんだ!」
「失礼なチビさん、居たんですか・・・え、兄さん?えぇ!?え?」
「だから、俺はエドワードで、あっちの俺がアルだ。」
「兄さん・・・ザックリすぎだよ、その説明。せめて魂の入れ替えのことも言おうよ。」
「錬丹術師だろう。気で分かれよ、俺ら、入れ替わってんだよ。」
メイは目をぐるぐるさせる。結論、冷たいアルフォンスに今まで騙されていたんだとなったらしい。
「ヒドイです。乙女の純情を踏みにじるなて・・・アル様のばかぁ!!」
「ちょ、兄さんっ!!」
「俺は事実しか言ってない。」
「まぁまぁ・・・こんな小さいお嬢さんを泣かすとは、呆れたな。」
「「・・・・大佐。」」
「さぁ、お嬢さん。泣き止んでください。向こうでお茶でも飲みませんか。」
キラキラしい笑顔で大佐がメイを誘う。
「はい。」
「ちょ、メイっ」
「おーい、そいつ気をつけろよ。危ないヤツだぞ。」
「鋼の。誤解を招く発言は止め給え。砂漠を超えてきたのでしょう。ゆっくりお茶を飲んで休んでください。」
メイは素直に大佐について、兄弟の病室を後にした。
「ここで会ったのはとてもラッキーだ。メイさんは錬丹術師でしたよね。」
「はい。」
「――お茶の前に、是非、見てもらいたい者がいます。」

――大佐がメイを連れて行った。一体、何を考えているんだか。だが、チャンスだ。メイが突撃してくるってことは・・・やっぱり、さっきまでいたハボック少尉の姿が見えない。
「アル、ちょっと俺、ナギを探してくる。」
「兄さん。今大佐に大人しくしてなさいって言われたばかりじゃないか。」
「素直に聞くわけないだろ。それにいい加減、元に戻してもらわないと。」
「まだ、いいんじゃない。だって兄さんの体、まだちゃんと治ってないし、時々痛むし。」
「・・・だからだろう。お前が痛みを感じる必要はない。」
「兄さん・・・あのねぇ、今回のことは・・」
「俺がドジを踏んで、狂った錬金術師のおっさんに捕まったからだ。責任も痛みも俺が負うべきだ。」
「怒るよ、兄さん。そんなわけないでしょう。兄さんが狙われたのも、それを防げなかったのも、僕たちが・・・」
「違う。」
「違わない・・・もう、何度同じこと言わせるんだよ。兄さん一人の責任じゃないっ!だから、痛みを僕が味わってもいいの。」
「よくない。とにかく、ナギを探してくる。」
「ちょっと、待ってよ。僕も・・・」
「その機械鎧、まだ直ってないだろうが。自力で歩けないだろ。留守番してろ。」
「あーっ、 兄さんっ!!」
何か言っているアルを残して、俺は病室を抜け出した。

―――
大佐は、メイを連れて、別の病室に案内した。
「ナユ様っ!!」
「知り合いか?」
「私に錬丹術の基礎を教えてくれた人です。王宮で道に迷ったときに、なんだ猫かと思ったら人の子かって優しく話しかけてくれて、それ以来、錬丹術の基礎を教えて下さいました。おかげで私は錬丹術の使い手として、バカにされなくなったんです。5年、いえ6年前に行方不明になっていたのに、こんな所でまたお会いできるなんて・・・でも・・・生きている気が感じられません。」
「・・・魂が離れやすい体質だと本人は言っていた。」
「魂が離れる?・・・そんなことはありえません。魂が離れたら・・・アル様みたいに異空間ならともかく、普通体は死にます。」
「そうだ。事実、この体は呼吸もしないし、心臓も動いていなければ、体温もない。こんなことは我々も初めてだ。医者に見せても、もう手遅れだと言ってろくな治療もしない。・・・頼む、錬丹術でなんとかならないか。」

外に出ようとしたら、メイの声が聞こえた。大佐とお茶してるんじゃないのか?なんだって病室から・・・
そっと声が聞こえる病室を覗くと・・・ナギがいた。
静かに・・・静かすぎる状態でベッドにいた。全く生気が感じられない。
まるで、ノックス先生のところで見た・・・遺体安置所で見た・・・死体みたいじゃないか。
「・・・・・・ナギ」
「鋼のっ!?なんでここに・・・入るなっ!!」
「・・・これはどういうことだ。生きている気が感じられない。」
「いいから、入るな。魂が入れ替わったらどう・・・」
「そんなことで誤魔化されるかっ!?ナギは一体どうなってるんだ?」
「ナギから頼まれている。頼むから、これ以上、部屋に入るな。」
大佐が体を覆うようにして、俺の進路を塞ぐ。
「・・・説明、してくれ。」
「本人は魂が離れると言っていた。そういう体質だと。聞いたことはあるだろう?」
頷く。
「これが魂が離れているという状態らしい。ただ・・もう、3日もこの状態のままだ。医者も何もできん。」
「3日って・・・じゃぁ、俺らが入れ替わって、俺の体を治した日からか。」
「・・・そうだ。」
「錬丹術を・・・龍気を使い過ぎたから。」
「違う。」
「俺が捕まったせいで。」
「鋼の、違う。」
「違わないっ!!アルもナギも・・・なんで・・・俺は・・・こんな対価を払ってまで助かりたくなんかないっ・・・!!」
錬金術の基本は等価交換だ。どうして気づかなかった。錬丹術でも同じハズだ。
重症を負った、死にかけた俺をどうやって治した。・・・対価は何だ?
どうすれば対価を・・・ナギの魂を取り戻せる!?
アルはあのとき、俺の右腕を取り戻すために魂を真理の扉の前に返した。俺はどうすればいい!?この体はアルのものだ。・・・魂だけをどうやって支払えばいいんだ。俺に錬金術は使えない。あそこに、真理の扉の前に行くことはもう出来ないのにっ!!

パン

頬に軽い衝撃があった。目をしばたかせる。
「二度と、そんなことを言うな。」
「大佐・・・」
あぁ、大佐に殴られたのか。
作品名:狙われるモノ2 作家名:海人