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狙われるモノ2

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「助けられなかった者の気持ちを知っているはずだ、鋼の。
イーストシティで、女の子を助けられなかったのをいつまでも気に病んでいたのは誰だ?
生き残った者は一生、その痛みを抱えることになる。
そんな痛みを弟に味あわせる気だったのか。」

「・・・・・・」
答えられない。
俺が死んだら・・・アルは・・・だが、ナギを、他の誰かの命を犠牲にしてまで生きたいとは思わない。考えろ、考えるんだ、ナギはどうしたら元に戻る・・・戻る?
「メイ、頼みがある。」
「何ですか?」
「魂が離れているだけだと、ナギは言っていた。・・・こんな状態だが、魂が戻れば元に戻ると思う。だから魂が戻りやすいように、道を作ってくれないか。あのときの俺の右腕みたいな。」
「道・・・ですか?」
「あぁ、錬丹術で気の流れを呼び込んで・・・魂が戻るための道を作ってくれ。」
「・・・どこから戻るというのですか?」
「真理だ。俺の右腕があったところと同じところにある。」
「わかりました。・・・やってみます。」

大佐に頼んで、一緒にナギの体を床に移動させる。
冷たい体に、鼓動が止まりそうになる。現実を認めたくない思いをなんとか堪える。
メイは床に移動したナギを中心に5本の剣を投げる。そして床に手を着く。
「ハっ」
気合を入れると、5本の剣がカタカタと言い、緑色の光を発する。錬成反応だ。
しばらく光は続いたが・・・ナギに何も変化は起きなかった。
「・・・・・・」
ダメなのか。やっぱり魂を戻すなんてことはムリなのか。
諦めかけたそのとき、ゆっくりとナギの目が開いた。

「「ナギっ!!」」
「ナユ様っ!!」

「・・・メイ?久しいな。大きく・・・は、あまりなってないな。どうしてこんなところに?」
「リン・ヤオから頼まれたんです。」
「糸目に?」
「はい、アル様の近くにいる者を助けてくれって。消えかけているっていう占いが出たから。」
「そうか・・・助かった。ありがとう。
――ところで、大佐。なぜ、ここにエドワードがいるか説明してくれないか。」
「あー、2日はもったんだが。」
「2日?」
「今日で3日目だ。キミの魂が離れてから。」
ナギが軽く目を見張る。
「3日?最長記録だ。・・・よく戻って来れたな。どうりで体が全く動かせん。腕すら持ち上げることが出来ないな。」
「大丈夫か?」
「とりあえず、ベッドに戻してくれるとありがたい。床だと寝心地が悪い。」
「あ、あぁ」
慌てて体を支え、ベットに担ぎ上げると、暖かな体温を感じた。本当に・・・魂が抜けて戻るとは凄い現象だ。元皇帝が驚愕し、不老不死に転んだのも頷ける。

驚いているのか、それとも自分を責めているのか。
黙って立ったままの鋼のに、ナギがいつもどおり声をかける。
「エドワード、立ちながら寝るな。起きてるか。」
「・・・ナギ、俺は・・・」
俺が捕まったせいで、ナギはこんな命を削るような状態になった。今回はメイがいたけど、もしまた俺が狙われたら、ナギは、アルも、危険に晒す。そんなことは絶対に嫌だ。俺のせいで、誰かが傷つくなんて、もう、うんざりだ。どう償えばいいのか、分からない。

「そんな顔をするな、お前らしくもない。すまんが、魂と体が馴染むまで少々かかる。魂の入れ替えは今日は無理だ。明日ならなんとかなる。」
「・・・そんなこと言ってねぇ。俺のせいで・・・ムリするな。」
「いや、3日も魂と体が入れ替わったままなんて、いくら兄弟でも体に支障が出てもおかしくない。明日まで待て。」
「大丈夫だと言って・・」
「お前は大丈夫でも、アルが大丈夫じゃないかもしれんだろうが。心配するな、魂が離れるのは慣れている。回復する時期も大体わかる。・・・ちょっと今は疲れているから休むが、明日なら大丈夫だ。」
全くこっちの意見を聞いてねぇ。そんな顔色で入れ替えの錬金術なんてムリに決まっているのに。
「寝ろっ・・・もうしゃべるな。」
「あぁ。・・・心配かけてすまなかった。」
そう言って、ナギはまた目をつむった。不安に一瞬かられたが、すぐに寝息が聞こえて安心した。


4日目の朝
俺とアルはセントラルの記憶の錬成陣をした場所に立った。
アルは機械鎧の左足は外し、松葉杖をついて立っている。動かない機械鎧は重いだけだからだ。
ナギもいる。心配してメイもついてきている。
ナギに何度ムリするなと言っても頑として入れ替えをすると言って聞かない。頑固な師匠だ。
夜明けを迎える。
入れ替えの錬成陣が朝焼けの中、錬成の光を放って、4日ぶりに俺とアルは元に戻った。

元に戻ったら、言おうと決めていたことがある。左足のない身体に戻って、松葉杖を付きながら、ナギとアルの2人に向き合う。
「ナギ、アル。もう俺は、2人と一緒に行かない。」
「兄さん?」
アルは驚いた顔をしたが、ナギは予想していたようだった。
「それで、どうするんだ?」
「・・・どうもしない。リゼンブールに戻って大人しく・・・」
「すれば錬金術師に狙われないとでも?お前の価値は変わらないのに?1ケ所にとどまっているなんて、むしろ狙ってくださいと言っているようなものだぞ。」
「それは・・・」
「おまけに大事な者がそばにいる。幼馴染や知り合いが人質になっても、お前は禁忌を話すことを拒むことが出来るのか?」
「・・・リゼンブールには戻らない。どっか人里離れたところで・・・」
「仙人見たいに暮らす気か?似合わん。・・・どこに行っても狙われる。錬金術師が徒党を組んだらどうする?お前はそれくらいの価値がある。伝説の賢者の石と同じくらいのな。――逃げるな、エドワード。」
ナギがホーエンハイムと同じようなことを言う。
だが、逃げているわけじゃない。もう、誰にも迷惑をかけたくない、誰の命も自分のせいで危険に晒したくないだけだ。
それに、今の状況が紛れもない事実だ。左足がなく松葉杖を付いた俺・・・足手まとい以外の何者でもない。
「逃げてねぇし、俺は、賢者の石でもねぇ。自分の足で歩けるし、考えることも出来る。いざという時は――」
「・・・どうする気?」
「アル・・・」
「どうする気なのさ。」
「絶対に禁忌は漏らさないだけだ。」
「――それって、死を選ぶとか言わないよね。」
「最後の最後は、それも仕方ないだろう。」
「そんなの絶対に認めないっ!!何それ、なんで兄さんが死ななきゃならないんだよ。ただ知識を持っているってだけで。」
「その知識がロクでもないヤツに知られたら危険なんだ。」
「だから死を選ぶって?冗談じゃない。知識のために、錬金術のために死ぬなんておかしいっ!!」
「アルフォンスっ!!じゃぁ、禁忌を話せっていうのか。」
「命より大事なものなんてないって言ってるんだ。例え禁忌を話しても、使わないようにさせるとか、方法はいくらでもある。」
「危険過ぎる。一度禁忌が漏れたら、誰にどんな広まり方をするかわかんねぇんだぞ。」
「でも、そのせいで、兄さんが命を、死を選ぶのは絶対におかしいっ!!」
「・・・お前とは意見が合わない。一緒に旅は出来ない。」
「兄さんのわからずやっ!!」
「なんだとぉー!!」
「落ち着け、2人とも。
ところでエドワードはどうしてアルと魂が入れ替わったか、聞いたか?」
ギクって、アルが固まる。
作品名:狙われるモノ2 作家名:海人