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狙われるモノ2

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「いや、誰も教えてくれないままだ。」
「私が教えよう。」
「ナギさん!!」
「アル、なにかマズイことでもあるのか?」
「いや、その・・・」
「じゃ、いいじゃねぇか。ナギ、教えてくれ。」
「自分がズタボロだったのは覚えてるか?」
「・・・覚えている。」
「では我々が駆けつけたことは?」
首を横に振る。
「そうか・・・ま、あのとき意識なさそうだったからな。お前は雷の錬金術師に人質にとられた。お前とヤツの足元には錬成陣が描かれていた。錬金術も錬丹術も無効にする特別なものがな。」
「それは大佐から聞いた。それで?」
「ヤツは狂っていはいたが、優秀な錬金術師の一面もあったんだ。
それで、こっちの攻撃の手が塞がれた。なんとしてもその錬成陣を消すしかないってときに、魂の入れ替えをアルが提案した。意識を失ったお前の魂はアルの体に、意識がある自分の魂をお前の体に。そして錬成陣を一部でもいいから消す。だが、魂の入れ替えにお前の体が耐えられるかどうか、微妙だった。耐えられなかった場合、アルもお前もただではすまない。
一度断ったんだが、アルが何て言って私に入れ替えをさせたと思う?」
「・・・わからねぇよ。」
っていうか、初めて聞くことばかりで頭がついていかない。あの雷野郎は大佐が簡単に倒したと思っていたのに、そんな窮地に陥ってたのか。
「お前が死んだら、人体錬成するって脅したんだ。」
息を呑む。
「正確にいうと、脅しじゃなく本気だと答えた。多分、お前が死んでたら、アルは人体錬成をしてただろう。誰にもアルは止められない。
アルが正気なのはお前が生きているからだ。お前が死ねば、今回の雷の錬金術師みたいにアルは正気を失う。
一人では生きていけないんだ。だから、お前はアルに寄っかかっていいし、アルもお前に寄っかかっている。お前はアルをお荷物だと、迷惑だと思うのか?」
「いや・・・」
まだ納得していないエドワードに、ここしばらく思っていたことを口にする。
「強くなりたいか、エドワード。」
「・・・あぁ、せめて自分を守れるくらいにはな。」
「そうか・・・錬丹術を習う気があるか?」
「錬丹術?」
「そうだ。」
「だが・・・俺は・・・」
「真理の扉を代償で失った、だから錬金術は使えない、だろ?」
頷く。
「いろいろ考えたんだが・・・真実は一つかもしれないが、そこに至る扉は一つではないんじゃないか?」
「それは、どういう・・・」
「つまり、これまで得た知識とは全く別のもので、真理にたどり着けば・・・真理の扉は一人に一つと決まったもんでもないだろう。」
「それは・・・いや、そんなことが・・・」
「あぁ、私にもはっきりしたことは分からん。どんなに学んでも、錬丹術を会得することは出来ないかもしれん。それでも可能性はあると思う。」
「そうだな・・・可能性を捨てるなんて、バカのすることだしな。」
「?あぁ、まぁそのとおりだ。」
エドワードが不敵に笑うのは分かるが、なぜアルフォンスは照れているんだ。
ま、ケンカしたままよりマシだからいいだろう。
「よしっ、やってやろうじゃねぇか。錬丹術の1つや2つ、モノにしてやらぁ!!」
「というわけで、メイ。エドワードの指導を頼む。」
「なにっ!?」
「この礼儀知らずのおチビさんのですかっ?」
「チビじゃねぇっ!!しかも、お前の方がチビじゃねぇか。なんでチビにチビって言われなくちゃならねぇんだっ!!」
松葉杖をメイに向けてわめき散らすエドワードに呆れる。さっきまで仙人みたいに暮らすと言っわなかったか。まるで子供だ。
「落ち着け、エドワード。そんなものを振り回すな。メイが師匠だ。」
「ナギはっ!?」
「メイから基礎を教わった後に教えてやる。」
くっそ~、こんなチビが師匠っ!?冗談じゃねぇ!!
「ふっふっふ、私は礼儀知らずには教えません。メイ先生と呼びなさい。」
「断るっ!!」
「じゃあ、錬丹術を習わなくていいんですね?」
猫目で笑いながら質問してきやがった。くっそ~、性悪チビめ。
「さぁ、まず龍気を感じること。せ~の、ハイっ!!出来ますか?」
メイは頭に両手をピースの形にしてビシっと当てているが・・・何のポーズだ?
「・・・なんだ、それは?」
「あ~、兄さん。メイは龍気の説明がその・・・全くわけがわからないというか・・・」
「感じますよね、ここ、すごい龍気ですもん。」
「・・・人の気配くらいは分かるが。龍気なんてもんはわからねぇ。」
「こんなにあるのにっ!?信じられません。」
「教える気があるのか、チビ?」
「チビじゃありません。メイ先生です。」
「アル、このチビ、こんな性格だったか?ナギ、俺、ちょっと無理。」
「さっき、錬丹術の1つや2つ、簡単に会得すると宣言したじゃないか。ま、皇族は生まれつき龍気を感じるから説明が難しいんだ。私もどうやったらわかるのかと聞かれたら答えられん。どうやって息をするのかという質問と同じだ。だが、そこさえ分かれば錬丹術は会得できる。メイ、よろしくな。」
「・・・つまり、一番ややこしいところを、このチビから習えと。」
「そうだ。メイは根性があるからな。わかるまで投げず諦めず教えてくれると思う。」
「もう、さっきから、チビじゃありませんっ!!メイ先生です。今度チビだと言ったら、ナユ様のお願いでも教えませんよっ。」
腰に手を当て、ふんぞり返るチビに・・・頭痛がしてきた。
錬丹術習得の道は、最初思ったよりも大分遠そうだ。
でも、まぁ、可能性がゼロでないのなら、何もしないうちから諦めるなんて絶対しねぇけどな。



師匠になって、しかもアルが戻ったことで浮かれているメイの「アル様とデートがしたいです」の一言で、俺らはセントラルの中心地に向かった。
のどかな公園にオープンテラスのカフェ、周りには家族連れやカップル、それ目当てのカメラマンや絵描きなどもいて、平和そのもの。
早速メイはアルを連れ回し、あっちの店に行ったかと思うとすぐに出てきて、今度は花屋に行き、そして絵描きのところで似顔絵を頼み、屋台に出ているアイス屋でアイスを買っている。
ホントに猫みたいにちょこまかと動く。
松葉杖の俺と、錬成をして疲れたナギはカフェのオープンテラスに座って、その様子を目で追っていた。若い2人は目で追うのも疲れるほど動いている。
あー、若いってすごいな。
ナギと向かい合ってコーヒーを飲みながら、ふと気になっていたことを思い出す。
ナギは何故、魂を対価として支払ったのだろう。考え込みながらコーヒーを飲んでいると、ナギと目が合った。
「マズイな。」
「そうか?軍のコーヒーからすると相当旨いと思うケド」
「あんなモノと比べるな。味じゃなく、雰囲気が問題だ。塞いだ顔の男と飲んでもちっともうまくない。何を葬式みたいな顔をしている?言いたいコトがあれば聞く。言いたくないならもっとマシな顔をしろ。」
「・・・なんで対価を支払ったんだ?」
「は?」
「だから、なんで俺を治すのに対価を・・・魂を支払ったんだよ?」
ナギは珍しく本当にビックリした顔をして、深く深ぁくため息をついた。
「・・・・・・・・・・・・・・・知らなかった。
エドワード、お前、意外とバカなんだな。」
「なんだとぉ!?」
作品名:狙われるモノ2 作家名:海人