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狙われるモノ2

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「大声を出すな。アルとメイが気づくだろう。落ち着け。
聞くが、確かお前の右腕という対価を支払って、アルの魂を錬成したんだよな。」
「そうだけど」
「アルの魂と引き換えに、お前の右腕は持ってかれた。」
「あぁ。」
「それでアルの魂がアチラ側に行ったら、お前の右腕は元に戻った。」
「・・・・あっ!」
「気づいたか。私が魂を対価としてお前を治したんなら、魂が戻った今、お前の身体はズタズタのボロッボロに戻ってなきゃおかしいだろうが。」
「・・・そこまで言わなくても。」
「言いたくもなる。まったく、何を塞ぎ込んでいるかと思えば。
真理は曖昧なものではない。もっと厳格で無慈悲だ。こちらの事情など一切考慮しない。
知らなかったのか?」
「知ってるよ。」
大佐は自分の意思ではなく、ムリヤリ見せられたにもかかわらず視力を持っていかれた。
真理は確かに厳格で無慈悲だ。
「なのに、なんで私が魂を対価に支払ったなどという結論が出るんだ、お前は。
お前の身体を直したのは錬丹術だ。私の魂がアチラ側に行ったのは単に体質、たまたまタイミングが合っただけだ。よくそれで私の魂を元に戻すことが出来たな。答えは合っているが、過程が激しく間違っている。」
やれやれという感じで首を振るナギに、カンチガイに恥ずかしくなる。
俺は、俺のせいでナギが対価を支払ったのかと思ったのに。もの凄い自己嫌悪に陥ったのに。
「大体、一つしかないものをホイホイと対価に差し出すほど私は気前良くない。それに糸目と宰相になると約束している。こんなところで対価を出してアチラ側に行ってたまるか。約束が果たせなくなるだろうが。
これだけ一緒にいるのに、全く師匠のことがわからないとは、二重の意味でバカだな。」
心底呆れた顔で言い募るナギに、カチンときた。
「ナギが秘密にするからだろうっ!!単に体質で魂が離れてたんなら、事情を話してくれてもよかったじゃないか。」
「魂が入れ替わっているお前らがそばにきたら、今度は私の魂と入れ替わるかもしれないからだ。アチラ側に行った私の魂と入れ替わりでもしたら、大変な事態になるだろう。」
「アルはともかく、俺とナギは何の共通点もない。魂の入れ替わりなんて起こらないだろう。秘密にする意味はないじゃないか。」
うっとナギが詰まった。じっと見て答えを待っていると、根負けしたのかナギが白状した。
「・・・師匠だからだ。」
「はぁ?意味がわからねぇんだけど。」
「だから、師匠だから弟子の前で死んだような姿をさらしたくなかったと言っている。」
「・・・ナギもバカじゃん。」
「バカにバカと言われたくはない。」
「充分、バカだよ。いつも疲れたとか言って寝てる姿をさらしているのに、なんで魂抜けた状態だけさらしたくないんだよ。助け合うのが師弟だろっ!!一番、助けがいるときに、何で弟子にそれを言わねぇんだっ」
「・・・ナルホド。そういう考え方もあるな。」
「そういう考え方しかねぇんだっ!まさか、お前、今までも魂抜けた状態を隠していたことがあるんじゃ・・・」

ヒュンっ
ゴスっ!!

どこから飛んできたのか、スパナが俺の頭に命中した。身に覚えがあり過ぎる痛みに声が詰まる。
跳ね返ったスパナをナギが見事にキャッチしている。
どうせなら俺に当たる前のスパナをキャッチして欲しかった。
いや、ツッコむところはソコじゃない。

「ウィンリィっ!!てめぇ、何度も言うけど、スパナを投げるなっ!!」
「あんたが私の最高傑作の機械鎧を壊すからでしょっ!!しかもせっかく直しに来たのに、病院にもホテルもいないでこんなところで優雅にお茶してるなんて、信じらんないっ!!
探したんだからねっっ!!」
確かにウィンリィは直接来たのだろう、大荷物を持って肩で息をしている。相当探し回ったに違いない。反論できないでいると、ナギが笑顔でスパナをウィンリィに返した。
「お久しぶり、ウィンリィさん。」
「お久しぶりです、ナギさん。」
「その機械鎧のことだけど、今回は私の責任なんだ。ここでお茶をしているのもメイのたっての頼みでね、そう怒らないで許して欲しい。」
「ナギさんが言うんなら、わかりました。」
スパナを受け取りながら、いやに素直にウィンリィが答える。俺と態度が違い過ぎないか、コイツ。・・・心なしか、顔も赤いような気がする。もしかして・・・
「ウィンリィさんは、メイと会ったことがあるんだっけ?」
「はい。え、メイちゃん?」
アルと公園の方にいたメイが駆け寄ってきた。
「あー、ウィンリィさんっ!!」
「久しぶり、メイちゃん。いつセントラルに?」
「昨日です。ホントに久しぶりです。」
「ウィンリィ、久しぶり。いつ着いたの?」
「アルも久しぶり。私は2時間くらい前よ。探したんだから。」

「ウィンリィ・・・お前、ナギのことが好きなのか?」
和やかに再会を喜んでいた皆が俺の一言にビシっと固まった。
ゆっくりと俺を見て、同時に深いため息をつく。

「「「「はぁーーーーっ」」」」

「な、なんなんだよ、人の顔を見てため息をつくなっ!!」
「・・・・・・」
「兄さん・・・」
「こんなおバカが弟子なんてイヤです。」
「まったくだな。こんなに人を見る目がないとは。」
ウィンリィはため息しかつかないし、アルもメイもナギまでも人をバカにした、いや、むしろ哀れんだ目で見ている。
「俺、そんなに変なこと言ったか?」
「「「「うん。」」」」
4人とも深く頷く。なんか、さっきから俺だけ仲間外れなんだけど。

「だって、ナギの言うことは素直に聞くし・・・ナギが好きななんじゃないかと。」
「長い付き合いなんだから、わかるでしょ。ウィンリィが好きなのはナギさんじゃないよ。」
「乙女心がわからないチビですね。」
「というか、普通わかるよな。」

「「えっ?」」

俺とウィンリィの声がハモる。
なんだ、アルもメイもナギもウィンリィが誰が好きなのかを知っているような口ぶりなんだけど。
「ウィンリィが好きなのって」
「わー、ちょっと、あんた本人目の前にして何聞いてんのよっ!!」
慌てるウィンリィをよそに冷静にナギが答える。
「そんなのは決まっている。」
「ナギさんっ!!待って」
「機械鎧(を付けた目の前のバカ)だろう。」

「・・・・・・そんくらい、俺でも知ってる。」
なんだ、機械鎧か。納得した俺とは別に、ウィンリィは激しく脱力している。
アルとメイはそんなウィンリィの肩をたたいて慰めている。
なんなんだ、一体。

「ウィンリィさん。ホントに私にしとかないか?大切にするよ。」
「えっ!?」
顔を上げたウィンリィの手を握って、ナギがごく自然な感じでウィンリィを口説いた。
ウィンリィの顔がハッキリと赤くなっている。
って、こらっ!!
「ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだぁぁっ!!」
思わず片足で立ち上がり、テーブルに両手をついて反論する。
「エドワード、うるさい。なんでお前が返事をするんだ。
私はウィンリィさんに聞いているんだ。」
「絶対にダメだ!!ウィンリィ、ナギはな、宰相になるんだぞ。この国にずっといるわけじゃないっ!!」
「だから、将来安泰、有望な出世頭だろう。機械鎧の研究に没頭できる環境を約束するよ。」
作品名:狙われるモノ2 作家名:海人