魔法少年?リリカルなのは
Episode 6
● ○ ● ○ ●
「いやね、たしかに制服の上着をなくしたのは俺が悪いよ?制服濡らしたのもまぁ、俺が悪い。だからってこれはないでしょ?」
「うーん、ちょっと胸周りが余るかしら……でもまぁ、いいでしょ、詰め物すれば」
「その発言はおかしい」
金髪の少女が海辺の作から落っこちて、泳いで救って濡れていたから上着を貸したおれ。魔法的な関連のことだし、なんだかんだで見ず知らずの人に上着を貸してしまったわけなので詳細は黙っているわけなのだが。
せっかく紳士的なことをしたというのにこれはどういう仕打ちか。
「ほら、恭ちゃんのやつはなのはの身長じゃちょっと大きいじゃない?でも美由紀の制服ならほら、ぴったり」
「まず男女が違うことに気づいて欲しい。男子はズボンで女子はスカートなんだけど。というかなんでにーちゃんのはもっと前のとか残してないの……」
「女の子の制服はいい思い出なのよ」
頭を抱えるおれ。なんと翌日から女子用の制服で登校する事になってしまった。
男子用の制服はにーちゃんとおれのがあるわけだが、おれのは完全に濡れてしまってクリーニングへ。にーちゃんのは大きすぎて着れなかった。くそ、なんでにーちゃんは平均身長を優に超えてるんだ。
「じゃ、そういうことだから、明日からはそれで行ってね?学校には連絡して許可はもらっといたから」
「学校、そこはダメと言って欲しかった。せめて体育着とかにしてくれればよかったのに」
「なのは学校に置きっぱなしでしょ?」
俺のバカ。
翌日学校に行ったらもちろん注目の的な訳でして。
バーニングからは大爆笑を頂き、月村からは「似合ってるよ」と言われ、男子からは一部から「ひとときの夢をありがとう」と言われ。
別に嬉しくはないとです。むしろおれの心はずたずたでした。
国語の時間中。いつもは睡眠に耽るが今日の俺は一味違う。おれにはレイジングハート、通称レイハがいる。だから目もパッチリ、常にキリッ。
もちろん授業なんかは聞いてないけど。
『ではイメージトレーニングを始めます』
つまりトリップ、トリップ。To The air.
レイハの魔法で見事に意識だけ異次元へ。青い空、白い雲、多くのターゲットそれを延々と打ち続けるこの時間。魔力とか体力とかそんな以前に技術と戦術がないと負けるとかどうとか。
合言葉は『目標をセンターに入れてスイッチ』
トリップに疲れたなら「空気中の魔力を取り入れるように呼吸する」というユーノ師匠の言葉を信じて呼吸。魔力運用とかなんとか。
「すー……すー……」
「なのは……!!なのは……!!当てられてるわよ!!」
「…………ん……3xです……すー……」
「国語の時間よ馬鹿」
気持ちよく寝れました。
「いいかげんにしなさいよ!」
「はい?」
「何聞いても上の空でぼーっとして!!悩んでるならなにか言えばいいじゃない」
「はい?」
放課後、歩いていたら急にバーニングに怒鳴られた始末。なぜに怒られているのですか?
「アリサちゃ……」
「すずかは黙ってて!悩んでるの見え見えなのに!なんで話してくれないのよ!なのはのバカ!すずかいくよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!アリサちゃん!」
どうやらおれは悩んでいるようです。しかし何にでしょうか?
「なー月村、俺悩んでるよう見える?」
「んー……まぁ最近いつもとは違うのは確かかな。授業中起きてるし、ノートもとってるし、周りの人とも話すようになったし……」
むしろおれいい子になってないかそれ。
「なんでおこってたんだろ……腹でも痛かったのか……正露丸渡しに行こうかな」
正露丸いいよね。あの匂い、もっとお腹が痛くなる。というか気分がアウト。密室でこぼされた日にはおれは泣く自信がある。
「なのはちゃんはもうちょっと女の子の心がわかるといいのになぁ……まぁいいや。アリサちゃんは私に任せて。なのはちゃん、そんなに気にしなくていいからね」
そういってバーニングのもとに走り去る月村。
あ、おいこら、そこの男子ニヤニヤしてるんじゃない。
● ○ ● ○ ●
作品名:魔法少年?リリカルなのは 作家名:こーこうせい