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【静帝】 SNF 第六章 【完】

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 ぷっ…と、堪え切れずに思わず漏らしてしまった苦笑をごまかす様に、綻んだ口元を軽く握ったこぶしで隠して、わざとらしく男の上司がごほんと咳払いして見せる。
 それから彼は、未熟者の後輩に助け船を出すべく、さりげない仕草で腕時計に視線を流し、時間が押している事を一同に示唆した。
「じゃあな、みーくん。良い週末を…。お友達くんも、機会があったら、また駄弁(だべ)るべ〜」
 慈しむように帝人の頭を優しく一撫でし、「朝まで理性が持つか自信が無くなった」と弱音を吐く、不肖の弟子を引き摺って、謎の男・田中トムが、左手に進路を取ってマイペースに歩き出す。
 何が何だか良く分からない内に、うやむやに男達を見送る事になってしまった帝人は、遠ざかる二つの背中が丁字路の先に消えたのを見届けた後、ぽかんと惚けた顔で緩慢に正臣を振り返った。
「ほれ、帝人。今からうち帰って、夕飯用の弁当作るんだろ?…オレらも行こうぜ」
 男達とは逆方向の、右側の道を帰路に選んで、正臣はまごつく幼馴染みの背中を押す。

 ――なべて世は事もなし。池袋は、今日もそれなりに平和だった。

   * * *

 念願のお泊り会に浮かれてワクワクして寝付けない子供と、その子供にムラムラして眠れない男が、結局どんな《土曜の夜》を過ごしたのかは……二人だけの秘密。

【完】