Wizard//Magica Wish −3−
「まどか~お昼だよ~」
「………はぁい」
鹿目家、まどか は自分の部屋でずっとベッドの中に潜っていた。
5日前から まどか はどこか生気が抜けたように生活していたのだ。学校には必ず登校はするがほぼ空元気状態で 流石の さやか もお手上げ状態である。
友達に敵意を見せる。
漫画やアニメでは主人公が簡単にそんな行動をする場面は何度も見たことがある。
けど、いざ自分がそれをしてしまった…が、これほど恐ろしいことはなかった。
今でも自分の頭にこみ上げてくるあの光景。
敵ではない…同じ、魔法少女を攻撃しようとした瞬間。
杏子と ほむら は、ずっとこんな辛い思いを何度もしてきたのだろうか。
「食べないと…せっかくパパが作ってくれたんだから…」
まどか はボサボサの髪とパジャマのまま、下のリビングへと降りる。
リビングには まどか の父、「知久」が次々とテーブルの上に昼食を準備する姿と まどかの弟の「タツヤ」がおもちゃで遊んでいた。
「…ママは?」
「ママは今日、休日出勤だよ。…ん?まどか、今日も元気ないみたいだね。大丈夫かい?」
「おね~ちゃ?」
「…ごめんね、パパ。その…」
「大丈夫だよ、まどか」
知久は手にもった皿を置き、優しく まどか の頭を撫でた。まどか はきょとんとし、タツヤは頭を傾けた。
「僕は 何故まどか が落ち込んでいるのはわからない。あ、もちろん無理して訳を話さなくても良いよ」
「うん…」
「まどか の悩みは他人じゃ解決できないぐらい深いものだと僕は思う。でも決して諦めちゃダメだよ」
「えっ…」
「この世界は、まどか でも、僕でも、そしてママでもとっても厳しい現実という壁に当たっちゃうことは絶対にあるんだ。けどね、そこで諦めてはいけないよ。学校の授業で出てくる『問題』には必ず『答え』という選択肢があるように、どんな壁でも乗り越えることが出来る『答え』が必ずあるんだ」
「パパ…」
「う~?」
「だから まどか。どんな現実を目にしても、絶対に諦めちゃダメだよ?常に希望を持つんだ。もちろん、なにか困ったことがあったらパパとママに相談してくれよ?」
「うん…ちょっとだけ元気できた、ありがと、パパ!」
「ね~ちゃん、だいじょ~ぶ?」
「ごめんね、タツヤ。大丈夫だよ?」
「さて、お昼ご飯冷めちゃうからぱっと食べちゃおう!あ、コップ出してなかったね」
「私だすよ、パパ!」
「お、ありがとう まどか!ほらタツヤ~ご飯食べますよぉ」
「あ~い!」
知久はタツヤを専用の椅子に座らせ、2人は各々の席についた。
まどか は何気無い気持ちでテレビを起動させ、知久はタツヤが食べやすいように工夫された食事をゆっくりと食べさせていく。
−…次のニュースです。~年に大火災があった○×県△市 面影村 の復興作業が7年経った現在でも今だ進まない状態で…−
「あ、このニュース。また入った」
「丁度まどか が物心ついたときにあった大火災だね」
「パパ、おにくちょ~だい!」
「あ、ごめんよタツヤ」
「大火災、かぁ…確かこの大火災で生き残った人っていなかったんだよね?学校の授業で丁度話題で出てたんだ」
「うん、本当にあの時はすごかったよ。何日経っても消化できずに永遠に燃え続けたんだから。この事件がきっかけで見滝原市みたいな都市がたくさんできるようになっていったんだよ」
「へぇ、そうなんだ…あ、学校の授業で思い出した!授業で借りてた本あったんだった、パパ、昼から図書館行ってくるね!」
大火災。
この事件、魔女と何か関係があるのかなぁ……
作品名:Wizard//Magica Wish −3− 作家名:a-o-w